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物流ニュース
物流で社会貢献活動 ファミマやヤマト運輸などの取り組み
2018年3月26日
社会貢献活動は、求職者や荷主から見た企業の魅力を高める方法の一つだ。最近は特に「社会的課題を企業の事業活動で解決する」といった形の社会貢献が注目されている。今回は物流業を通じて社会貢献を行っている事業者の取り組みを聞くことができた。
物流のプロとして、震災時に被災地へ荷物を届けようと尽力したのが有名な例だろう。今年、猛威を振るった豪雪時にも、輸送ネットワークを駆使し、被災者を助けた企業がある。ファミリーマート(澤田貴司社長、東京都豊島区)は今年の豪雪で北陸エリアの生産・物流拠点がマヒしているのを受けて特別車両を手配し、食料品をはじめとした生活物資が、いち早く店頭に並ぶよう尽力している。
中田順吉物流運行部長は「緊急時には全域内から最優先に車両とドライバーを招集し、他府県からの支援も含めた物資の緊急輸送に当たるネットワークを構築している」とし、併せて「こうした緊急時の対応も、平時に余力があってこそ可能となる。これからも現場の負担軽減と効率化に努め、いざという時に備えていきたい」と話している。
フロンティアジャパン(額賀泰尾社長、同江東区)は梱包などのセットアップ作業を、のびのび共同作業所大河(同台東区)など障がい者支援施設へ依頼することで、事故や病気後遺症による中途障がい者を含む、高次脳機能障がい者の就労継続・生活支援に貢献している。
フロンティアジャパンの安藤豪太常務取締役は「依頼といっても簡単なことではなく、施設の方とも協議を重ねた」としつつ、「納品いただいた商品はパーフェクトな品質を保持している」とし、「障がい者支援は今後、日本全体で考えていく必要のある課題。これからも継続してオファーを続けていくことは我が社の使命」と話す。
のびのび共同作業所大河のサービス管理責任者を務める木村敏治氏は「利用者の方からは、生活の一部としていただくと共に、仲間と苦労を分かち合える大切な居場所にもしていただいている」とし「下請け作業も、大切な仕事を任せていただいていると、利用者の皆様の励みになる。フロンティアジャパン様のようなCSV企業が認知され、社会的課題を解決することは、障がい者福祉施設にとっては今や必要不可欠」と話す。
同共同作業所では、広く下請け作業を募集している。木村氏は「多種多様な業務を依頼していただくことで、作業所でも利用者の皆様へ合わせた様々なアプローチできる」と話す。
ヤマト運輸(長尾裕社長、同中央区)は、事業を通じた地域課題の解決を目指して、客貨混載に取り組んでいる。法人営業部の山口直人プロジェクトマネジャーは「社会的課題を事業として解決していくのが狙い。単なるCSRでなく、事業の中で続性を生み出すことが重要。地域ごとの課題の違いに合わせた対応をしていく」と話している。
こうした取り組みの結果、地域産業が活性化した事例もある。
例えば、宮崎県では特産品の西米良サーモンの輸送に客貨混載を利用することで集荷対応時間を伸ばし、高い品質を保ったまま、海外輸出できるようになった事例がある。山口マネジャーは「客貨混載を、物流を効率化するという視点から一歩踏み出して、新しい価値を生み出す地域活性化の手段としていきたい」としている。
他にも北海道では、混載の便と他の航空輸送などをつなげて農水産品の輸送リードタイム短縮に成功し、東京まで翌日配送を実現している。また利便性向上と需要発掘の観点から、買い物支援を、客貨混載のスキームを活用してトライアルを実行中だ。
山口マネジャーは「事業として続けていくためには、物流効率化だけを原資とするのではなく、客貨混載をベースに地域の課題を解決し、新たな価値を創造することが必要となる。働き方改革の観点からも効率化を進める必要もあるが、ただ客貨混載を進めるのではなく、効率化と合わせて地域社会や交通事業者様とうまく事業を続けていけるか検討した上で展開を続けていく」としている。
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