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物流ニュース
水屋の新約款採用は数パーセント 実運送との意識の差
2018年4月16日
「水屋」とも呼ばれる、トラックを持たない利用運送事業者による新標準約款の採用率が数パーセントにとどまっている現状が、国交省・運輸局へのヒアリングで分かった。利用運送事業の標準約款は、トラックの実運送事業の標準約款が施行された昨年11月に同時に改定されており、新約款を採用した利用運送事業者は、手配したトラックの待機や荷積み作業などの場面で料金を発生させることができるようになっている。実運送事業者による新約款の採用率は約4割に達するものの、真荷主との間に介在しトラックを持たない水屋とは意識が大きくかい離していることが数字で裏付けられた形だ。
トラックを持たない形の利用運送事業を所管する国交省総合政策局物流産業室によると、新約款の施行から約5か月経つことを踏まえ、3月31日現在の新約款採用数を報告するよう各運輸局に求めている。4月第1週現在、「数値に疑義のある複数の運輸局の数値を精査したい」として、同室は全体の数値を明らかにしていない。
3大都市圏を抱える関東、中部、近畿の各運輸局に本紙がヒアリングしたところ、新約款を採用するにあたって料金の変更届をした件数(割合)は関東で「390件」、中部で「約7%」、近畿で「289件」だった(中部は件数ではなく割合で回答)。関東、近畿の両運輸局管内の利用運送事業者数(2016年3月31日現在)と比較した届け出割合は関東で4・2%、近畿で3・9%。中部の数値を件数に掛け戻した数値などから計算したところ、3運輸局管内での届け出率は4・4%に過ぎなかった。
トラックを持たない利用運送事業者は全国に約2万3000あるとされ、3運輸局管内の事業者だけで約8割が集中する。このため、他の運輸局管内での届け出割合が伸びても、「1割にも満たないのでは」(関係者)との公算が大きい。
国交省物流産業室や各運輸局は、届け出数や割合の低さを問題視しており、「今後、代表者や所在地の変更など、他の申請のため窓口にやって来た事業者に逐次、新約款の変更届もするよう促したい」などと話している。物流産業室は、「利用運送事業は事業者団体がないので、(届け出が事業者側の義務といえども)ある程度、行政側から働きかけないと(届け出数の向上は)難しい。政策遂行には監査なども検討しなければならない」と話している。
国交省は昨年、新約款施行に当たって利用運送事業者が手続きをするよう促す内容のハガキを、全事業者を対象に送付するなどしている。
利用運送事業の新約款と同時に施行された実運送事業の新約款に関しては、トラックの取引環境を改善させるための協議会の席などでも公表され、約1か月前の3月9日現在、全国で2万1907事業者による料金の変更届が出され、提出率は約4割となっている。
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