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物流ニュース
提案力強化に向けた物流の総合化を 多岐にわたる業務集約
2018年5月31日
総合物流企業の需要が高まっている。例えば、ECでの取引をメインとしている事業者について「ECサイトを通じた商品は一部の売れ筋商品を除き、多品種多ロット化している。荷主も物流ノウハウを持たない場合、単なる倉庫管理・配送だけになってしまう在庫管理など物流事業者として求められる業務は多岐にわたる」ので当然という声もある。また他にも「荷主がマーケティングや商品開発などに集中できる環境を提供・提案できる企業は、サービスで勝負ができる。こうした提案力が無ければ価格・コストをメインに勝負することになりがち」と分析する企業もある。今回は、こうした補完・配送からさらなる展開を行っている物流事業者や、企業価値向上に向けたサポートを提供する企業に話を聞いた。
スタークス(上ノ山慎哉社長、東京都品川区)は物流のクラウド化をサポートし、在庫管理を含めた総合物流の効率化に貢献している。
同社が提供しているのは「クラウドロジ」。同サービスは受発注や、その管理などの業務を同社システムへ一元化させアナログな部分を取り去った上で、在庫もクラウド化し、更にAIで予測してくれる。予測された商品受注数に沿ってあらかじめ近隣倉庫へ一括配送することで、配送コストの削減や業務の簡略化を達成するシステムサービスだ。
同社の景利翔事業部長は「以前からAIによる受注予測を行っており、特に健康食品や化粧品などは得意分野。他の商品もデータを集め予測精度を上げ続けていく」としている。以前バージョンであるリピロジの頃も合わせて現在まで、健康食品や化粧品関係の商品配送・保管業務で多数の引き合いがあり、こうした商品は受注データが充実している関係上、予測精度も高いという。
景利部長は「現在利用していただいているのは国内で7社14拠点」とし、「今後も利用者を募っていく予定。これからの物流は、より大きなスケール・ネットワークを通じた効率化・商品管理が重要となるのではないか。物流をクラウド化し、労働環境の改善とサービス品質の向上を達成されたい事業者はぜひご利用いただきたい」と呼びかける。
醍醐倉庫(醍醐正明社長、同大田区)は貨物保管から配送といった物流業務全般を請け負い、荷主の物流コスト最適化や効率化に貢献している以外にも、同社が年に一度開催する「道々橋蔵出し市」を活用した商品販売や、「醍醐倉庫蔵出し市」を通じたインターネット上での代行販売など行い、総合的な物流サポート企業として荷主に貢献している。
醍醐社長は「元々のメインはBtoBの物流。しかし、BtoCを展開したいがノウハウを持った人材を確保できていない、といったお客様の声があり、当社にネット販売の知識があったため、提案に至った。代行販売以前から我が社で在庫管理をしていた商品も多く、現場のリソースを削ることなく展開できている」と話す。
醍醐倉庫蔵出し市の登録社数も、リリースした2年前は2社だったが、現在は14社にまで増加。取り扱い商品も約800種類あり、売れ行きも好調とのことだ。道々橋蔵出し市も16年続いており、毎年の開催を心待ちにしているリピーターを数多く獲得している。
醍醐社長は今後の展望について、「より多くの荷主企業に利用していただくため、これまでEC事業を展開し蓄積されたノウハウを生かし、より多くのお客様を獲得していきたい」とし、「大手通販サイトに出展する形でネット通販に貢献してきたが、今年中には自社独自の通販サイトを立ち上げる計画もある。アパレルや健康食品、飲料品など、幅広いラインナップを揃え、今まで以上に利用企業を増やしていきたい」と話す。
物流を基軸としながら事業を多面的に展開し、各事業を連携させたワンストップサービスを提供しているのがカーレントサービス(保坂高広社長、同大田区)だ。同社は物流業務とシナジー関係にある事業を多面的に展開し、物流と共に、商品撮影などのEC事業のサポートや、機材の設置・組み立て、施工に伴って排出される廃棄物処理など様々なサービスを展開し、サプライチューンの短縮を実現している。保坂社長はこうした多用な専門企業の集合体実現した要因について「弊社はお客様からの要望を断らないことを大事にしてきた。だからこそ、お客様の『ここまでやってほしい』という声に応えようと現在の形を構築することにつながった」と話す。今後も事業の多面性拡大を予定しており、研究・開発施設などの内装工事や廃棄物処理、さらには施工に伴って生まれる中古機械の販売なども予定しているとのこと。
更に、他の課題についても同社長は「多面展開とは別に、個々業務の強化も課題となってくる。物流インフラを提供する上で、より高品質で専門的な業務を請け負えるようになれば」とも話している。
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