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物流ニュース
澁澤倉庫 大隅毅社長 「時代に合わせ変化する力」
2018年6月19日
日本資本主義の生みの親である澁澤榮一氏が澁澤倉庫部(当時)を創業したのが明治30年。創業121年となる澁澤倉庫(東京都江東区)。日本の経済成長に伴い総合物流企業として高度に発展してきた。大隅毅社長は13代目(昭和24年に社長職を新設。それ以前は会長職5代)となる。
創業100年を超えることができた秘訣について、大隅社長は「時代にあわせて先手を打ち、変わり続けた結果」という。「例えば、本社(江東区永代)が創業の地になるが、昭和初期の段階で茅場町に土地を求めたり、昭和40年ごろには大阪・茨木、愛知・小牧、神奈川・川崎などの高速道路のインターチェンジ近くに倉庫用地を求めている。トラック輸送や高速道路がまだまだの時代に、そのような土地を求めて先行投資した」と説明する。
「昭和40年代は港の倉庫がメインだった。内陸拠点を造ってトラック輸送を拡大するなど、当時の経営者として先見的な明と時代とともに変わる力があったからこそ、100年以上続いてきた」と指摘する大隅社長。「そういった考え方が経営理念である『チャレンジ・クリエイト・コオぺレイト』に反映された。しかし、この経営理念は平成2年、21世紀に向けた当社の長期ビジョン策定のなかで作ったもの。それまでは経営理念や社是について表立ったものはなかった。ただ、創業精神として『倉庫業は、これからの経済・産業の発展に不可欠な産業。この地で倉庫業をすることで従業員を雇用し、その家族を養い、税金を支払うことが社会貢献になる』というものはあった」という。
企業として最も大切にしていることについて、「澁澤榮一が書かれた書の一つに『信は万事の本と為す』というものがある。やはり、すべての基本は信用であること。これが創業者精神の一つ。倉庫業をやっていく上で信用・信頼を得ることは一番重要」という大隅社長。「この点については、今後も当社の背骨にしていきたい。例えば、新しい物流センターを立ち上げる際、入念な準備をしていても混乱する部分が出てくる。その際、出荷を止めたり、誤出荷が頻発すれば、お客様にご迷惑がかかる。そのとき、他の部署の社員が仕事後に庫内整理を手伝ったり、土日に自発的に応援するなど、信用を守ることについては社員一人ひとりに浸透している」という。
1987年に入社した大隅社長。他社との違いについて「社内的には良くも悪くも家族的な面がある。それと比較的に若いうちから責任を任されるというところがある」という。次の100年に向けての取り組みとして、「企業理念のコオぺレイトは私から見てもできていると思う。チャレンジ・クリエイトの部分については、歴史が長くなってくると挑戦する気概をなくしたり、新しいものを作ることが億劫になることがある。しかし、先輩方は時代とともに変わってきた。守るべきところは守り、変えるべきところは変えなくてはいけない。例えば、海外の事業を伸ばすことと物流サービスに情報を付加させること。物流サービスについて、お客様の製造や販売に寄与できるサービスを提供することを、もっと増やしていきたい」という。
◎関連リンク→ 澁澤倉庫株式会社
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