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    点呼のタイミングにみる「疲弊」と「虚無感」 運行管理上の錯誤

    2018年5月31日

     
     
     

     事業者・管理者自身は、きちんとできていると思っていたが、「法令上はそうではありませんよ」といった指摘を受けてしまう。運行管理上のそうした「錯誤」の事例としてよく耳にするのが「点呼」だ。実務の忙しさに加え、押し付けられた感覚をベースにして運行管理をとらえると、法令を逐次、自身で解釈する作業を経ることなく、何気なく点呼がルーチン作業化してしまうのもうなずける。問題はこの先、つまり「ここまでやっているのになぜ」といった事業者・管理者の疲弊の声が聞かれること、そして運行管理記録を「作文」してしまおうという虚無感すら漂っていることだ。

    改善結果報告書

     近畿地方にあるトラック事業者は今春、地元ト協による巡回指導を受けた。指導員は、「このタイミングで点呼することになっています」と指摘。「いつから、そんなことになった」と問う事業者に指導員は、「以前からずっとです」と話したという。指導員が指摘したタイミング。それは、一日の運行が終わった後でかつ、乗務員が眠る前の時間帯。同社は長距離運行が多いため、そのタイミングに乗務員はトラックの仮眠ベッド、または宿泊施設にチェックインした時間帯だという。

     同社の場合、ある日の夕刻以降に出発し、翌々日の朝方に帰社する足掛け3日の運行ならば、出発時と帰社時の2回の対面点呼を含み、計9回の点呼を受けることになるという。特に3日間のなか日に当たる2日目には5回も「中間点呼」をしていたが、いずれも法令上の要件を満たしていないとの指摘を受けた。法令上、なか日には乗務前と乗務後の電話点呼に加え、その間に少なくとも1回の中間点呼、つまり3回の電話点呼を実施すれば事足りる。同社は、荷物に積み下ろし前後など業務上、必要とされる電話連絡は頻繁にやり取りしていたが、運行管理のため法令上求められているタイミングに点呼ができていなかったことになる。つまり、なか日の5回の電話連絡は法令上、何の意味もない「おしゃべり」に過ぎなかった。

     そもそも点呼のタイミングは、どこでどのように定められているのだろうか。長距離運行時も含む点呼については輸送安全規則7条で定められる。同条3項に長距離などで、「(乗務開始前と乗務終了後の)点呼のいずれも対面で行うことができない」場合についての記載がある。7条に使われる「乗務」という言葉の定義は同規則の中にはない。そのため、同社のような足掛け3日運行全体を一つの乗務ととらえれば、乗務前後2回の対面点呼に加え、少なくとも1回の中間点呼をこなしているのだから、法令の要件を満たしていると読めなくもない。

     同規則を所管する国交省安全政策課は、「3日全体を一つの乗務ととらえると、改善基準告示で定められた拘束時間を超過した乗務ということになる」などとし、他の運行管理、労務管理規則との整合性の中で「乗務」を1日の運行分ととらえるのが妥当だと説明する。法令を、このように読み込んだのちに運行管理をする作業が、日常業務に忙しい事業者・管理者に求めることは妥当だろうか。あるトラック事業者は、「法令が何を求めているかの解釈などではなく、ただ決まったことをやっているだけ。いや、実務上やれていないところを後付けで『作文』する際に、決まった通りに当てはめた作文をしている、といったほうが適切だ」と話す。同社はGマークも取得している「優良事業者」の一つだ。

     
     
     
     
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