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物流ニュース
まだ下げる!?「コース配送費」 大手荷主が運送会社に提示
2018年6月5日
昨年暮れから配送運賃や料金の価格設定を検討していた国内大手食品メーカー(東京都)が、現行の運賃より4割以上も低くなる「配送費」を設定し、取引相手方の運送会社に対して合意を求めていることが分かった。合意を求めるために運送会社に示した書面を本紙が入手した。トラック1台当たりの運賃を決める「車建て制」に運賃を一本化することに加え、車建て制運賃を構成する要素として新たに「付帯業務料」を設定している。付帯業務に関しては、昨年11月に施行された新標準運送約款の中で料金化することが求められるが、料金化を逆手にとることで現行の運賃をこれまでよりも下げる方向に利用しようとする荷主が実際に存在することが分かった。書面は5月下旬の日付。日付と同じ日に運送会社には、食品メーカーのセンター長ら3人が書面をたずさえてやってきたという。
入手した書面によると、現行の車建てと個建て(配送個数・物量に比例する運賃)の併用運賃制から車建て制に一本化することを明記。そのうえで「(案)新配送費につきまして」と題した文面には、車建て制を「基本運賃+付帯業務料+距離加算+その他加算」と定め、総合計を「コース配送費」と名付けている。つまり運賃は、新たに設定したコース配送費にとっての一つの要素に過ぎないことを示唆している。
一要素としての運賃は中型以下のトラックの場合、50キロの走行までは一律7600円、50キロを超えた場合に1キロごとに50円と設定する。例えば、100キロ走行で運賃は、1万100円になる計算だ。
コース配送費の大きな位置づけを占めるのが付帯業務料。1納品先につき一律の1000円を設定する。同じ100キロの走行でも、納品先が1件だけの場合と5件ある場合では、付帯業務料はそれぞれ1000円と5000円。つまり、ここに1キロの運賃も加えたコース配送費はそれぞれ1万1100円、1万5100円、といったような差がつく計算だ。付帯業務料について書面には、「配送時の一般的な付帯業務(積み下ろし・検品・容器回収など)や納品時間調整などの一時的な待機に対し、新設します」と記される。
「4割も運賃が下がって引き受けてくれるかどうか」。書面を手にした運送会社社長は話す。実はこの配送コースに関しては地元の協力業者のトラックに引き受けてもらっている。引き受けてもらえなければ、撤退も視野に入れた選択が必要だ。4割下がったコース配送費を示す資料には、走行距離と納品先、そして配送費の概要がある。走行距離123キロ、納品先1件。この二つの条件に変更はない。変わるのは「現行コース配送費」が約2万2000円、「新コース配送費」が同1万2000円。この点だけだ。
運送会社によると、来社した食品メーカー担当者は、「配送費を平準化するため、このような形にしたい。現行よりも下がるトラックには個別に対応したい」と話し、書面通り機械的に運賃引き下げを求めた内容ではなかったという。運送会社は、「メーカーとして、まだ何も決まっていないというのが本音だろう」と話し、今後の交渉に神経をとがらせる。
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