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物流ニュース
電子商取引増加で注目度アップ 使用増える梱包資材
2018年6月7日
経済産業省が発表した電子商取引に関する市場調査では、平成29年度に国内のBtoCの電子商取引市場規模は16・5兆円で前年比9・1%増。通販などの商取引の増加は、ダンボールをはじめとした梱包資材の使用増加にもつながり、梱包資材は物流業務とは切っても切れない関係にあると言える。今回は、そんな梱包資材に関係する各所で話を聞いた。
ダンボールの輸送を取り扱っている八潮運輸(埼玉県八潮市)の宮地宙社長は、「お客様からも、ここ1〜2年、特にダンボールの需要が伸びたとお話いただいている」という。同社では、こうした事態にあっても輸送体制を維持できるように荷主と一緒になって協力体制を構築している。荷主施設内に作業員を送っていることもあり、情報共有も行われていることから、荷主と共に配車を組み、課題解決に向けた提案も行われている。他にも大型車両の活用や荷役作業時間帯の調整などを提案し、荷物量の上昇にコストを上げないで対応できるよう工夫している。また、今後も協力会社との連携や、M&Aの検討も行うなど荷主のオーダーに応えられるよう工夫を重ねていくという。同社は、こうした取り組みもあってか、全国でも2148社しか選ばれていない、地域未来牽引企業に選定されている。地域経済の担い手として期待をかけられている、この選定に宮地社長は「期待を込めて選定していただいた以上、それに応えるべく引っ張っていかなければと、一層気持ちが入っている。これからもお客様から任せていただいた仕事に責任を持って取り組んでいきたい」としている。
一般ダンボールのほか重量物梱包用ダンボールの生産メーカーである山田ダンボール(中川孝昭社長、東京都中央区)でも、生産の増加傾向が確認されているという。しかし一方で、これらを生産するための人手集めが難航気味ともなっているという。執行役員の山原良彦工場長は「ダンボールの製造現場は過酷な部分があり、新たな人材が集まりにくい。受注数の増加にも、残業など作業時間の増加で対応しているところがある」という。こうした事態もあり、同社では働きやすさを重視した工夫が実施されている。工場では「終業時に明日の生産の準備を完了しておき、作業時間を短縮」「生産が集中しないよう、オーダーの平準化を目指した話し合い」などで対策を行っている。また、営業部の情報や過去のデータを活用し、年間を通した受注数の予測も行われている。
省力化やコスト削減、エコといった課題を解決するものとして、紙の緩衝材が注目されている。安さと速さが求められるECにおいて、紙の緩衝材はコストを抑えるだけでなくフレキシブルに使うことができる。世界最大の紙による梱包資材・システムメーカーのランパックは、紙の緩衝材を短い時間で箱の中に入れることができる機械をEC市場に投入。日本市場では、昨年から徐々に注目度が高まっている。
ECに限れば、世界の主要EC企業トップテンの半数以上でランパックの紙の緩衝材が採用されており、紙の使用量も近年、ECによって伸びている。同社のアジアパシフィック(東京都品川区)営業マネジャーの中村昌史氏は「日本でも人手不足によって、当社の機械で梱包作業の効率化を図りたいという問い合わせが増えている」という。紙の緩衝材で世界トップシェアの同社では、紙の購入量も世界一多いため、緩衝材となる紙も安く提供することができる。ランパックの販売代理店パルテック(神奈川県横浜市)のデザインサービスディビジョン課長の打田優氏は「緩衝材を紙に変えることによって、コストの削減も可能」とし、「日本でも関心が高まっており、紙の緩衝材マーケットは広がっていく」と考えている。
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