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物流ニュース
清涼飲料業界、人手不足深刻 物流効率化が課題
2018年7月11日
清涼飲料水の生産量は2017年、2162万7000KL(前年比1・7%増)で、3年連続で最高記録を更新。生産者販売金額も3兆9478億円(同1・8%増)と2年連続で記録を更新した。生産者販売金額でみると、清涼飲料水は加工食品の中で最も大きいマーケットとなっている。このように物量が年々増加するなか、人手不足などが問題となっている物流の効率化が、清涼飲料業界においても大きな課題となっている。
生産者販売金額で4兆円に迫る勢いで市場拡大を続ける清涼飲料水の業界団体で、清涼飲料水メーカーなどで構成されている全国清涼飲料連合会(堀口英樹会長、東京都千代田区)。物流面の課題について、同連合会の甲斐喜代美広報室長は「ビールは共同配送など効率化が進んでいるが、清涼飲料水はまだまだ」とし、「人手不足が最も大きな課題となっている」と話す。そうした状況のなか、「業界では、年月日から年月表示に変わろうとしている」とし、「年月日で管理していたものを年月で管理することで、物流の部分で効率化が図れるのでは」という。
清涼飲料水は、炭酸飲料をはじめ、コーヒー飲料、ミネラルウォーター(水サーバーを除く)、緑茶飲料など、全体的に生産量が伸び続けている。ペットボトルのリサイクルが可能となった96年に、持ち運びができる小型のペットボトルが利用されるようになって以来、缶から現状では7割がペットボトルに変わった。さらに、2000年問題の時に、コンピューターで制御されている水道が誤作動により出なくなる可能性があるとして「水の備蓄」が呼びかけられ、これをきっかけにミネラルウォーター市場が右肩上がりとなった。清涼飲料水の新製品は1年間に約1000種類。この業界は競争が激しく、各メーカーが市場拡大に注力していることから、マーケット拡大のスピードに合わせた物流効率化が急がれる。
一方、アサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリービールなどの大手ビールメーカー4社では、2015年に物流部長会を発足。具体的エリアでの遠距離共同輸送やトラック待機時間など物流管理上の課題などについて検討し、17年9月から、北海道(道東エリアの一部)における共同物流と、4月には関西〜九州間でのモーダルシフトを開始している。また、物流環境の整備として、ドライバーや物流従事者の労働環境改善やトラック待機時間の削減、受注オペレーションのイレギュラー改善、過剰な物流品質要請への対応などにも取り組んでいる。ビールメーカーによると「ビールと清涼飲料では生産体制などで異なる点があるため、同様の物流体制を組むには難しい面もあるが、基本的な部分は同じ」とし、今後は清涼飲料の物流効率化が期待される。
食品・産廃・生花などのトラック輸送事業をはじめ、倉庫業を展開している八千代運送(福島昇社長、千葉県八千代市)では、大手飲料メーカーの輸送を行っている。清涼飲料水の輸送について吉田寿男営業部長は「当社ではコーヒーや、コーヒーを作る機械なども運んでいるが、コーヒーや水の荷動きは昨年よりも多くなっている」という。同社では今年、新たに飲料メーカーとの契約を開始しているが、そこでもコーヒーの荷動きは活発で、取扱量は増えているとしている。加えて、業務用の水サーバーの取り扱いも増加している。
飲料メーカー各社が物流効率化を進めてきた結果、パレット輸送などによりドライバーの負担はかなり減っている。その半面、運送会社側も運賃に還元することが難しくなっている。吉田営業部長は「清涼飲料水の繁忙期は6月から9月。この期間は、メーカーさんの倉庫での荷積み荷下ろし時間がどうしても長くなる」とし、「昼から夕方積みの場合、2時間はかかるため、荷待ち時間交渉が当面の課題」と考えている。繁忙期の荷待ち時間に関しては、どこも同じ状況になる。倉庫の構造上、フォークリフトの人員を増やすことはできないが、物量は増えるために、どうしても時間がかかってしまうのが原因のようだ。
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