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物流ニュース
できる? できない? 事業者台帳の閲覧
2018年7月19日
トラック運送など事業者の情報が蓄積される国土交通省のシステムで、システムに含まれる公文書の開示をめぐる取り扱いが徹底されていないことが本紙の調べで分かった。システムは、運輸支局などが事業者に対して実施する監査に関する情報を蓄積したもので、システムに含まれる公文書の一部が、ある時には窓口で閲覧でき、別の時には閲覧できないような状態になっている。閲覧を請求する者ごとに窓口の対応が違っている可能性もあり、国交省は「実態を把握したい」(大臣官房広報課情報公開室)としている。
場面によって、あるいは請求者によって閲覧ができたりできなかったりする公文書は、「事業者台帳」(写真)と呼ばれる文書。事業者台帳には、事業許可の年月日や代表者の氏名、所在地などの情報に加え、資本金の額、車庫面積、車両台数といった事業実態の一部を表す情報も含まれている。事業者台帳を含んでいるシステムは、「運送事業者監査総合情報システム」。同システムは、「運送事業者の管理その他業務に常時利用するものとして継続的に保存すべき行政文書」(『電子政府』ホームページより)と位置づけられ、2007年3月に運用が開始されている。
近畿地方に住む男性は6月、近畿運輸局兵庫陸運部の窓口を訪れ、県内に位置するトラック運送事業者2社の事業者台帳の閲覧を窓口担当職員に要求した。返ってきた職員の返答は、「閲覧できません」だった。男性は、「文書閲覧窓口制度」と呼ばれる制度が、国交省にあることを職員に対して指摘。職員は、対応を近畿運輸局などにも確認し、数十分後に2社の事業者台帳を男性にその場で開示した。その際、職員は「申し訳ありません」と男性に対して述べ、対応の誤りを認めている。
兵庫陸運部などのこうした対応を知った別のトラック事業者は本紙取材に、「『文書閲覧窓口制度』の存在を外部から知らされて、その後に閲覧させる対応を取ること自体、情報公開の制度が徹底されていない証拠。このようなことでは、特定の者に対して、どのような行政情報が漏れ出ているのかといった疑念も出てくる」と述べ、守秘義務が適切に守られているのかといった点にも言及。その上で、この事業者は「事業者台帳が監査システムの一部の情報だとはいえ、監査情報そのものの漏洩に関しても、事業者としては気になる」と指摘している。
国交省は、文書閲覧窓口制度について、「国民生活に役立ち、一般公開に適すると認められる文書をあらかじめ目録に登載し、当該目録に登載された文書については、速やかに無料で閲覧ができることとなっている」とし、通常の公文書開示請求の手続きとは一線を画した制度との認識をホームページ上で示している。大臣官房広報課情報公開室は本紙取材に、「請求者によって、あるいは場面によって閲覧ができたりできなかったりするのは適切ではない。(目録の作成者の)近畿運輸局に聞き取りするなどして実態を把握し、対応したい」と話している。
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