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物流ニュース
人材確保の方策 費用や利用媒体など物流会社にアンケート
2018年8月27日
少子高齢化などの影響により、物流業界では人材の確保が思うように進まず、深刻な人手不足が問題となっている。トラックドライバー不足は、仕事を増やせないだけでなく、会社の倒産にもつながる可能性があるため、多くの事業者が危機感を持って、その対策に苦慮している。こうした状況のなか、本紙では、全国の物流会社に人材獲得に関するアンケート調査を行い、「求人で利用する媒体」や「求人にかける費用」「求人で心がけているポイント」「求人対策の効果」などについて調べた。
アンケート調査の「求人に利用する媒体」について最も多く利用されているのが「インターネット」で、「ハローワーク」「求人誌」「紹介」の順に続く。「口コミ」や「新聞折り込み」といった回答もみられた。人材獲得にかける費用については、「費用をかけていない」が最も多く、続いて「5万円まで」「10万円まで」と、全体的にあまり費用をかけていない事業者の割合が多く見られる結果となった。
「人材獲得に心がけていること」では、「求人情報に嘘を書かない」という意見が目立った。主なところでは「誇張して書かない。給与の表示が他社より低くなるが、それでも応募してくれる人を採用している」「理念・ビジョン・戦略を伝えている。基本的に給与はいいが、きつい仕事だと面接や説明会で伝えている」「ターゲットにしている人材層が反応するような求人にする。嘘・誇張は書かない」など。
また、現場での働きやすさをアピールする事業者も多い。「休日をしっかりとれることや、未経験者でも働きやすい環境であることなどをアピールし、入りやすい企業であるとPR。稼げるアピールが通用する時代ではなくなった」「企業の安定性、働きやすさをアピール。面接で意欲が見えれば一度体験入社してもらい、その上で入社の判断をしてもらっている」「未経験者の受け入れ態勢・教育制度やHPの誘導、中型免許資格取得支援制度の導入」などの声があった。
ドライバーからの紹介をメインにしている会社も多い。「社員の紹介で不適切な人物が来ないようにする」「トラック好きが集まる会社を目指している」「普段から入社希望者の情報を、ドライバーからあげてもらっている」「紹介が最も信用できるので、いまは紹介のみ」という。また、「女性社長で人材の見極め方もわからないので、現場リーダーに任せている」という意見や「人は辞めていくものなので、辞めない工夫をすること」という声もあった。
求人の効果について、「広告費は負担になるが、それだけの効果を得ている」という声や「反応はまちまち。同じ広告内容でも応募ゼロのときもあれば、10件あったこともある」と、意見はバラバラだ。「体験入社を採り入れてから定着率が上がった」「コンサルに指導してもらい、自社のHPに求人専用のサイトを作った。動画や写真を活用して、どんな会社か、どんな人材を求めているかをわかりやすく具体的に説明することで応募が増え、ミスマッチも少なくなっている」という声も。しかし、全体的に見て「まったく来ない」「悪い」という声が多い。「良い人がなかなか応募してこないが、いまの世の中、ある程度は妥協せざるを得ないものとあきらめている」「季節によって大きな影響を受けている。求人広告を出せば出すほどマイナスイメージを与えて応募が減っており、負のサイクルが生まれている」という。
秋元運輸倉庫(秋元伸介社長、東京都港区)が7月に開催した「第6回あきもと情報交流会」で、ドライバー採用のヒントとなるセミナー「ドライバー採用に効くクスリ」が行われた。企業のWeb制作を手掛け、Webでの採用関係に詳しい同社の坂田良平マネジャーによると、昨年4月から今年7月までの期間に同社には93人の応募があって、21人を採用。その期間に同社が有料就職情報サイトに支払った広告出稿費用は183万6000円で、93人のうち62人が有料サイトからの応募だった。
坂田氏は「採用広告と会社の魅力、雇用条件の3つが採用に必要な要素」とし、「採用広告から自社Webサイトに誘導して、会社の魅力を伝え、時代に合った雇用条件を提示することが重要」としている。採用ツールでは、インターネットが最も効果があることから、坂田氏は「Indeed(無料版)や自社Webサイト、engage(エンゲージ)は大いに効果が期待できる」として、利用を進めている。「Indeedは採用情報の検索サービスサイトで、とりあえずは使ってみて欲しい。エン・ジャパンのengageは無料で使えるのがおいしい」とし、「自社Webサイトで採用コンテンツを構築するのは、手間はかかるが見返りが多い」という。
自社Webサイトの採用コンテンツには、会社紹介、求める人物像、募集要項、一日の流れ、キャリアパス、インタビュー、Q&Aをそろえることが重要で、応募者が「この会社で働く自分」を想起させることが大切としている。採用活動に臨むうえで、自社の「チャームポイント」を3〜5個、ピックアップすること、24時間体制で受付可能な電話番号を用意すること、毎日最低1時間は採用活動にあてることのできる担当者を用意することが、大きなカギとなる。
効果的な採用について坂田氏は、「『採用マーケット』市場に応じて採用コストをかける必要があり、『ひとつの方法』や『過去の成功例』にとらわれずに、自由なチャレンジをする必要がある」として、「ベースは自社Webサイトであり、掛けた手間とチャレンジは結果を裏切らない」としている。
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