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物流ニュース
出戻り社員の是非 知識や経験は即戦力に
2019年2月7日
一度、会社を辞めた社員が再び会社に戻ってくる「出戻り(再雇用)社員」。エン・ジャパンが昨年実施した出戻り(再雇用)社員についてのアンケートでは、「再雇用したことがある」と答えた企業は全体の72%。2年前の調査から5ポイント増加している。理由は「即戦力を求めていたから」「人となりがわかっており、安心だから」という2点が多くを占めた。人手不足の現在、一度辞めた社員を再雇用する動きが目立っているが、メリットもあればデメリットもあり、賛否が分かれるところだ。今回は出戻り社員の是非について調べた。
エン・ジャパンのアンケートによると、再雇用した企業の8割で周囲の社員の反応が「良い」と回答している。具体的には、「もともと人柄の良い社員であったため、再雇用を反対する社員がいなかった。再雇用後は、前回と異なる部署に配属したが、部署間の潤滑油的な立場を確立している」「社内の仕組みが分かっていて、研修にかける時間が少なくなった。また、本人からの応募だったので、突然退職するようなことはないと考えた」「一度退職し、他社を経験したことで、自分自身の弱点を見つけることが出来、その点を自ら律しながら業務にあたってくれる。こちらが期待していた即戦力としての復帰が現実になったため、あまりよく思っていない人がいることも事実。しかし、知識や経験は確かに即戦力」という声が多いようだ。
しかし、「もともと在職中の評価が低かったことに加え、退職の際、まともに引き継ぎもなく逃げるように退職。経営層の意向でしかたなく受け入れることになった。波風を立てながらも戻ってきたが、結局、半年ほどでまた辞めてしまった」「自らの意思で一度退職した社員を、なぜ戻すのかという反発が非常に強かった」という声もある。
現在、さまざまな業界で「出戻り社員」の取り込みが進められている。パナソニックは昨年12月6日から、柔軟な雇用機会の提供をスタートさせた。異業種経験を積んだ人材を積極的に採用する一方、従来のジョブリターン(再雇用)に加えて、「一度パナソニックに入社した後、別のキャリア経験を積み、再びパナソニックに戻る出戻りキャリアの受け入れを拡大させる」という。
同社では出戻り社員の最大のメリットとして、「当社を理解しておりミスマッチが起こりにくい。会社の中と外を知っており、当社のいい部分と悪い部分を客観的に見ることができる。当社も変化していかなければならないが、何が変化すればいいのかを知り、それを実行できる人材だと考えている。今後も出戻り社員を拡充していきたいが、採用については無条件というわけではなく、そのときのニーズとマッチした際に採用していくことになる」としている。
NPO法人であるフローレンスは昨年10月31日から、再入社制度「サーモンチケット」の運用を開始した。辞職時に配布されたチケットを持っていれば、再就職する際、書類選考なしに面接を受けることができる。通常のチケットの有効期間は3年間。在職中にフローレンスに特に貢献したスタッフには「プラチナサーモンチケット」を配布。有効期間は5年間となっている。
「(辞職後も)さまざまな接点を持ってフローレンスに関わってくれた事例がたくさんあることから、再入社を希望する方は即戦力として活躍を期待する」としている。同社では辞職した後もイベント案内などをメールで配信。退職したスタッフとコミュニケーションがとれるようにしている。
不動産開発を展開する大京グループは昨年3月から、退職した社員を再雇用する制度「ジョブ・リターン制度」を導入した。「これまでにも退職した従業員が復職した実績はあるが、より積極的に再雇用希望者を受け入れるため制度化した」という。同制度は結婚、妊娠、育児、介護、配偶者の転勤といったライフイベントを理由に退職したのち、再びグループで力を発揮したいという人材を再雇用するもの。退職時から申し込み時点まで、他社で雇用された職務経験がないことが条件となる。
同社では「現在まで問い合わせはあるものの、利用した実績はない。しかし、社内では『こういった制度があるのか』と、好意的に受け止められている」という。同社では同制度以外でも「個別に判断して出戻り入社をしていただいており、直近5年間で、こちらは26件のケースが確認できている。これは正社員として退社して、正社員として再雇用した人数となる」という。
辞めていったトラックドライバーが再び「雇って欲しい」といってきた際、受け入れるか・受け入れないかは運送事業者の判断。メリットとデメリットをしっかり理解して決める必要がある。
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