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    引越繁忙期を迎え 各社の対策や取り組み状況を聞く

    2019年2月19日

     
     
     

     今年も引っ越し繁忙期を迎える。3月、4月に引っ越し需要が集中し、特に3月は通常月の約2倍の件数になるという。国交省も「引っ越し時期の分散」に協力を求め、引っ越し専業者も人員と車両の確保を急ぐが対応も難しくなっている。国交省では「トラブルを避けるために周知を徹底しているところ」というものの、周知以外の対応については「今後、どうするかは具体的には決まっていない」という。繁忙期対策は事業者がするしかないというのが現状だが、今年の引っ越し繁忙期に向けて事業者の取り組み状況について話を聞いた。

     アートコーポレーション(寺田千代乃社長、大阪府大阪市)は、繁忙期を乗り越えるために、通年の人員採用強化と、アルバイトを早めに募集するなどの人員強化と業務効率化、品質維持のための事前研修・教育などを行っている。昨年は、受注件数に対応できる人員の確保はできたといい、今年は昨年と同様、正社員については通年採用の強化・高卒採用の強化を図っている。アルバイトについては、早くから採用を始めることと、駅から近い所に支店のサテライトオフィスを設け、そこで採用活動を行っている。

     働き方改革に対する取り組みについては、2017年8月から引っ越し業務を行う支店で業界初となる定休日を設けた。また、従業員の労働時間管理も行っており、料金の改正はないという。

     引越社(空雅英社長、愛知県名古屋市)の引越社関東(東京都江戸川区)では引っ越し繁忙期について、3月21日〜4月7日が基本だが、引っ越し分散が一部でできているため、3月15日以降の空車も厳しくなると予想している。繁忙期を乗り越えるためには、無理な工程や、無理な注文(キャパオーバー)をしない、させないことを心がけている。

     日本通運(齋藤充社長、東京都港区)では、3〜4月初旬までを引っ越し繁忙期と見ているが、その中でもピークを3月22日〜4月5日と想定している。繁忙期を乗り越えるために、法人顧客には分散引っ越し依頼や、早めのオーダー、引っ越し期間の猶予をお願いしているという。

     昨年は人手の確保でグループ会社や協力会社、他業務からの人員を供給して対応したが苦戦した。今年は、早めの戦力調達を実施中。

     サカイ引越センター(田島哲康社長、大阪府堺市)は、基本は3月後半〜4月上旬を繁忙期と考えている。繁忙期を乗り越えるため、生産効率化に取り組んでおり、17年度はドライバー充足率が120%だった。今年も引き続き、積極採用と社内育成に取り組んでいく。

     アクティブ感動引越センター(笠原大岳社長、東京都府中市)では繁忙期を3月中盤から4月初めとしており、今年の繁忙期も3月16日から4月7日と予想している。同社は引っ越し用の車両台数を二十数台としており、笠原社長は「同業他社に比べると人手不足感は少ないのではないか」と話す。

     また、その理由を「数年前から毎月、全拠点で社員・アルバイトスタッフ全員を集めてミーティングを開き、ヒヤリハット情報や事故防止情報、会社の方向性と目標の確認、法改正などの情報共有を行っている。そこで一体感・協調性が育まれている。営業担当から管理者・役員まで参加し会議をするのでほぼ半日、全ての拠点が停止する形だが、効果はある」と分析する。

     こうした集まりに参加した学生のアルバイトスタッフの中には、卒業後に同社への入社を希望する者もいるという。同社では、こうした場で法令に関わる情報を共有していることもあり、会社全体にコンプライアンス順守の意識が浸透しているという。笠原社長は「引っ越しの仕事は時期的な要素が強く、数年前までは引っ越し業界だから繁忙期の長時間労働は仕方ないといった意見もあったかもしれないが、今はコンプライアンスを守っていく必要があることを声を大にして伝えている」と教えてくれている。

     同社を特徴づけるものにもう一つ、顧客との情報共有がある。同社では繁忙期の値段変動がある一方、顧客へは値上げの理由など説明責任を果たすことに重点を置いている。笠原社長は「我が社はBtoCの取引が大半で、お客様の目線に立った仕事を重要視している。繁忙期の料金でも、ただ繁忙期だからといって説明を省かず、単価が上昇する理由や他の月であれば値上がりが止まることを伝えなければいけない。お客様の経済状況に寄与する説明に時間と手間を惜しんではいけない」としている。

     レオパレス21(東京都中野区)の物件について、壁や天井などに施工不良が見つかった問題で、転居要請の対象は33都道府県、1324棟、1万4000人以上にのぼる。これから4月までは引っ越し繁忙期だけに、どのような対応を考えているのだろうか。同社HPでは、「住み替えにかかる引っ越し費用(当社指定業者の利用に限ります)を当社にて負担させていただきます」とある。

     同社に「どの事業者を使うのか」「引っ越し繁忙期に対応できるのか」を確認。同社はまず、「指定事業者については、お答えできない」とのこと。報道関係の電話番号にかけたが「広報担当ではないので確認して改めて連絡する」とのこと。その後、「どの事業者を使うかについては、取引のある複数の事業者ということで、具体的な社名は差し控えさせていただく」とのこと。引っ越し繁忙期に対応できるかについては「できるだけ対応できるようにしていきたい」と回答。引越繁忙期を避けるなどの対応については「いまのところ、考えていない」という。

     引っ越し繁忙期では、大手にも中小にも余裕はない。転居要請を受ける1万4000人を超えるレオパレス21の入居者は、本当に「引っ越し難民」になるかもしれない。

     
     
     
     

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