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    交通事故犠牲者の声なきメッセージ 安城自動車学校の取り組み

    2019年6月4日

     
     
     

     繰り返される悲惨な交通事故。輸送のプロが集う運送業界にとっては、まず何よりも大前提となるのは、交通安全と事故防止への意識だ。忙しさに追われて見失いがちになる事故と隣り合わせだという現実を見直すためにも、愛知県安城市に校舎を構える、ある自動車学校で行われているイベントに、足を運ぶ必要があるかもしれない。

     安城自動車学校(石原慧子社長、愛知県安城市)では年に2回ほどのペースで、「生命のメッセージ展」という校内イベントを実施している。イベントでは主に、交通事故で帰らぬ人となった故人の等身大パネルを展示。「その死を少しでも意味のあるものにしたい」との思いが込められたパネルは、遺族の方の手で作成されており、足元に置かれた生前に使用されていたという靴からは、不慮の事故でその足跡を断たれてしまった物悲しさを感じ取ることができる。

     本人の写真に事故の詳細、さらに遺族の思いなどが張り出されたパネルは30体ほどが並べられ、ひとつの事故によって同時に命を奪われてしまったパネル同士は、その絆を確かめ合うように赤い紐で結ばれている。

     身勝手な運転によって引き起こされた許しがたい悪質な事故。会場ではそんな事故に巻き込まれて尊い命を失った例も複数展示されており、中には危険運転致死傷罪といった交通事故加害者に対する厳罰化のきっかけともなったパネルも。そこに詰まった遺された家族のやり場のない怒りや悲しみ、そして、かけがえのない未来を突如として奪われた交通事故犠牲者の無念の思いは、パネルと向き合った来場者の想像力を掻き立て、言葉にならない悲哀に満ちた感情を呼び起こさせる。

     「安全で事故のない街作りの実現」を掲げて安全運転教育を実施し、「交通事故をなくすためには『意識を変えること』が大切」との考えのもと、「人と安全研究所」を運営している同校では、事故抑止を使命感として捉え、こうしたイベントの開催を継続・展開していくことで、交通安全に向けた思いと決意を示し続けている。

     石原社長は、「命の尊さと交通事故の恐ろしさを知ってもらうことにより、その意識が運転にも現れる」と同イベントの意義について言及。同校の倉地徹校長は、9回を数えた開催の中で生じた思いとして、「ちょっとした不注意が重大な事故につながるというケースもある。そういう意味で、運転に集中することの大切さにあらためて気付かされる」とコメントする。

     同企画の実施を発案した同校の佐藤早智氏は、「パネルの犠牲者の中には、うちのスタッフの同級生もいます」と、事故が決して他人事ではないという身近な現実を、神妙な面持ちで絞り出すように語る。さらに「その親御さんがパネル設置のお手伝いに来てくれています」とも説明。そこからは、「子供の死をこうした取り組みの中で少しでも生かしてもらいたい」という遺族の痛切な願いが伝わってくる。

     未来に胸をおどらせ、免許取得のために通学する生徒らの傍らで、静かに、だが確かに開催される「生命のメッセージ展」。安全運転への意識を常に求められるプロのドライバーにこそ、パネルから発せられる声なきメッセージに耳を傾けてもらい、ハンドルを握るその手の中にある重く大きな責任に、あらためて強い意識を向けるきっかけとしてもらいたい思いが伝わる。

     同イベントの次回開催は、8月を予定している。

    ◎関連リンク→ 安城自動車学校

     
     
     
     
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