Now Loading...
 
  • 物流ニュース

    外国人ドライバー 門戸は開かれるか

    2019年8月22日

     
     
     

    物流業界に限らず、多くの業界で人手不足が深刻化している。こうした中、不足する人材を外国人労働力で補うという対策を講じる業界もある。しかし運送業界では、外国人労働力の受け入れに門戸は開かれておらず、ドライバーを外国人に委ねることは簡単にできないのが実情。深刻化する人手不足に、業界で外国人雇用の必要性を訴える声も聞かれるが、果たして門戸は開かれるのか。

     他産業では外国人労働力の受け入れのため、今年4月に改正入管法が施行され、新たな在留資格に「特定技能」が新設された。現状では、「特定技能」は自動車整備、介護やビルクリーニングなど14分野と限定される。この14分野は、海外から日本の技能や技術、知識を学ぶために入国した「外国人技能実習生」を受け入れてきた実績があり、外国人と仕事をするノウハウを蓄積してきた。

     今後、海外や事業者、業界団体からの要望があれば、「特定技能」に新たな分野が追加される可能性はあるという。トラック運送業界でも、ドライバー不足から外国人労働力の必要性を訴える声はあるが、賛否両論あり、具体的な要望が行われてはいない。

     OINUMA HOLDINGS(東京都江戸川区)の生沼芳清社長は、外国人ドライバーの受け入れ賛成派として意見を述べる。自身も外国生まれということもあり、もし受け入れが可能になれば意欲的に取り組みたいという。

     同社では、営業所を新たに開設し、求人広告を出しても、大型免許を持つドライバーがなかなか集まらない。同業者同士でドライバーの取り合いになってしまう現状では、顧客に十分なサービスを提供できない恐れがあり、外国人労働力も視野に入れる必要があると指摘する。

     同社長は、右ハンドル・左ハンドルといった課題はあるとしつつも、教育面に関しては「日本人でも外国人でも、会社のカラーに合わせるには時間はかかるもの」と話す。また、離れたところで仕事をするドライバーだが、「全車にドラレコを導入していれば管理も容易で、車の盗難や勤務態度にあまり不安はない」とする。

     一方、まずは外国人技能実習生を受け入れようとする会社もある。「一緒に働く仲間として接したい」と話すのは、外国人技能実習生の受け入れを進める関根エンタープライズ(関根崇裕代表、埼玉県越谷市)の塩田雅裕常務。

     同社はかねてより施工輸送を進めており、今回、外国人の受け入れを計画しているのはトラックの運転ではなく、あくまで建築の現場作業になる。

     手続きや送出国で面接を行ってきた塩田常務は、「今回、外国人技能実習生を受け入れるからには、母国に戻ったときに持ち帰った技術を生かしてほしい」としつつ、「受け入れた人たちがパイプ役となり、海外進出の際もつながりができるのではないか」と期待している。

     同社では、日本人と結婚し、ドライバーとして働く外国人の社員もいる。そのため、外国人を受け入れる土壌は出来ており、ドライバーに外国人が認められれば、ぜひ、受け入れたいとしている。

      既に工業包装や自動車整備士の分野で外国人技能実習生を受け入れる盛運(穐山正明社長、同羽生市)の穐山社長は一番の難関を「現場や管理職の意識」だと話す。同社では10年ほど前から受け入れを行ってきた。計画段階を入れると15年以上になる。穐山社長は受け入れた理由を、「当時、日本の出生率が下がっており、今後の労働者人口を予想すると、危機感があった。その頃から、外国人の受け入れを考え始めた」としているが、一筋縄ではいかなかった。「特に、自動車整備の分野は職人気質。管理者や教育者へ、何度も説明をした」という。

     同社長は、「外国人技能実習生を受け入れて、うまくいっているのは、日本人の管理者への教育がうまくいったところ」だと断言する。その一方で、「わが社では中国、フィリピンから実習生を受け入れているが、日本人も含め『若い世代』同士であれば、打ち解けるのが早い」と明かす。

     物流業界でも各企業が外国人技能実習制度などを通して、外国人労働力と関わりを持とうとする動きがある。しかし、国交省によると、トラック業界からはドライバーとして外国人の労働力を受け入れたいという要望が、まだ関係省庁に入ってきていないのが現状だという。

     自動車整備の分野では、平成28年4月から技能実習生の受け入れ制度が始まった。それまでには、海外からだけではなく、日本の事業者や海外に支店や関連のある企業、協同組合などの要望が長きに渡って存在し、活発に議論が展開されていたという。

     そして、海外に工場を持つ日本の自動車会社では、日本の整備士を現地に送り教育を行ってきた歴史があり、現地で採用したスタッフを日本に呼び寄せることで、国内の人手不足に対応するとともに、技術を学べるという外国側のメリットを示すことができた。そうして、外国人実習生制度ならびに特定技能が設けられたといえる。

     トラック業界も同様に、外国人労働力の必要性があるならば、活発な議論をし、業界として要望活動を行うことが先決だろう。さらに、海外へドライバーの魅力を伝える作業も必要だ。海外から魅力ある仕事として見えなければ、制度が整っても外国人労働者はやって来ないとの指摘もあるからだ。

     こうした現状を鑑み、まずは事業者や業界団体が外国人労働力の必要性について、議論し、意見をまとめ上げていくことが必要だといえる。

     
     
     
     
  •  
  •  
  • 「物流ニュース」の 月別記事一覧

     
  • 物流ニュース」の新着記事

  • 物流メルマガ

    ご登録受付中 (無料)

    毎週火曜に最新ニュースをお届け!!

    ≫ メルマガ配信先の変更・解除はこちら