-
物流ニュース
プレイングマネジャーから抜け出す 配車・管理者確保に悩む
2019年12月19日
人材不足で長く苦しむトラック運送業界では、ドライバーの確保、定着などの問題が大きくクローズアップされている。しかし、ドライバー以外の人材問題も深刻で、管理者や配車マンの確保や育成、定着に悩む企業が目立っている。
道央の中小事業者は、スポットが多い配車業務を独自のノウハウと人脈で長くこなしてきた幹部を、事業承継も視野に入れ役員に引き上げた。しかし、「スポットの配車は会社の業績に直結するため、役員に引き上げても経営に関わる業務をあまりさせられず、業務内容を大きく変えられない。1人の配車スキルに依存するのは良くないと思うが、バックオフィスに十分な人員を充てられる規模ではないので、組織的な対応は一朝一夕には難しい」としている。
同様の課題に直面している事業者は多い。役員が配車を行っている別の事業者も「自社便よりも、取り扱いが2倍以上多く、役員は毎日、電話が鳴りっぱなし。とても事務所の仕事はできず、本人も配車以外に関心を持っていない。もっとドライバーに接してもらいたいと思うが、売り上げを考えると、当面は他の人間にやらせられない。他所から配車を任せられる人材を探しているが、全然見つけられない」と話す。
社長がプレイングマネジャーとして現場に出て、配車も行っている札幌市の中小事業者も「管理者がおらず、社長とドライバーのみという組織で、配車を任せられる人材がいない。経営の仕事に集中したいが、管理体制を築くには、どこから手をつけていいのかわからない」と話す。
運転・配車・営業・管理まで、ほぼ1人で行ってきた事業者は「年間の休日がほとんどない状態で、この姿を見たら、誰も『管理職をやりたい』と思わない。みんなの不安を解消すべく、今年は自分が休みをしっかりとることから始めている」としている。
先代からの番頭が高齢化しており、管理者の世代交代に悩む事業者は、「ドライバーから引き上げるか、外部から採用するか、決めかねている」として、別の事業者は「先代の社長が、自分で何でもやっていたので、管理部門に優秀な人材がいない。ドライバーから引き上げるとしても、ドライバーが不足するので、実行できない」と話す。
配車担当は必ず現場から上げるという札幌市の事業者は「配車は現場の厳しさを知っているだけに、現場優先の考えが強く、数字を追う経営側との意識の開きが大きい。ドライバーの要求をよく聞き、協力会社との付き合いを優先させるため、もっと内製化できるところも、他社に振ってしまっている」と課題を挙げている。
道央の中小規模の運送会社に勤務する配車マンは「昨今、役員登用を遠回しに打診されているが、自身の腕で売り上げ、利益が決まる配車業務が面白いので、返事に困っている。配車は個人商店という感覚。個人的には、これを極めたいと思っている」と話している。
この記事へのコメント
関連記事
-
-
-
-
「物流ニュース」の 月別記事一覧
-
「物流ニュース」の新着記事
-
物流メルマガ
うちの社長は、営業部長兼経理部長兼運行管理者兼ドライバー兼フォークマン兼洗車係です。レクサス乗ってますが。
これは業界あるある。
フリーで車まわしてる会社の配車マンは社長より重要。
独立されでもしたらごっそり荷主持ってかれる。
むしろ社長いなくてもいいんじゃないかと思う。