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    揺れる「最低保有車両台数」 検証は先送りへ

    2008年6月24日

     
     
     

     国交省が打ち出した営業トラックの最低保有車両数の「適正規模」の検証は先送りとなる公算が大きくなった。一部高官の発言から「最低車両数引き上げ」との報道もあり、規制緩和を進めてきた総務省などは猛反発。国交省は「引き上げるとは言っていない。あくまで適正規模の『検証』であり、引き上げるかはその後のこと」と説明するが、当面、最低車両数「五台」は堅持されそうだ。
     一方、最低車両数に満たない事業者に対する処分は予定通り、今夏をめどに強化される模様で、現在、国交省では省令改正と併せ具体的な行政処分設定に取り組んでいる。


     国交省は、公取委とともに3月にまとめた「軽油価格高騰に対処するためのトラック運送業に対する緊急措置」の中で「『正直者が損をしない』健全な競争環境」整備の必要性を強調。具体策として社保未加入事業者に対する処分強化、新規許可事業者への法令試験などを打ち出しており、いずれも7月1日から実施されるが、このほかに「保有車両が最低車両数に満たない減車等に関する処分強化」「最低車両数の適正規模の検証」の2つが宿題となっている。
     最低車両数5台に満たない事業者(4台以下の事業者)は07年3月末現在で3653社。一時は減りつつあったが近年は増加傾向。ほとんどは「人手不足」「事業縮小」などが原因だが、許可基準で新規参入し、直後に減車する悪質なケースもあるという。
     5台未満では「運行管理者」を選任する義務がなく安全管理面で不安が残るが、減車の届け出で五台を割っても行政処分はない。これを改善するため同省は今夏をめどに省令を改正、減車を届け出制から「許可制」にするとともに、5台未満でも運行管理者を置かなければならなくする。通達と違い「省令」改正のため各部局とのすり合わせが必要となり、担当官は走り回るが「認可扱いとするのは規制緩和に逆行する」として本省内にも異論があるともいう。
     一方、最低車両数の検証については、全ト協(中西英一郎会長)と共同で実態調査を実施する計画が16日現在、未着手の状態。「調査した結果、今の5台をどうするというのか。どうにもできない」と関係者は漏らす。
     規制緩和の流れで最低車両数を順次、引き下げてきた国交省は「安全管理、運行管理の面からも5台の縛りは最低必要」と主張。三年前の規制改革・民間開放推進会議(宮内義彦議長)の「5台規制撤廃」の意見も封じ込めており、基本的なスタンスは変わってないものの、引き上げは難しい情勢にある。
     引き上げが困難な理由として「10台以下が過半数を占める業界で、引き上げれば大きく影響するのは自明の理」と関係者は強調。トラック事業者は全国に6万2567者あり、このうち保有車両10台以下は3万4097者で54.5%を占める。「ト協の役員でも7、8台はざらだ。これを今さらいじったら組織が成り立たなくなる」との指摘もある。
     当面、最低車両数五両未満の事業者に対する規制強化をスタートさせるが、最低車両数5台は堅持せざるを得ないとの見方が強まってきた。(土居忠幸)

     
     
     
     
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