Now Loading...
 
  • 物流ニュース

    たちはだかる道交法の壁 深夜の高速道路「運行管理できない」

    2020年2月25日

     
     
     

    首都・近畿の二大都市圏を発着する大量のトラックが、中間の静岡・愛知両県付近で道路交通法と労働法規の板ばさみに毎晩直面している。

    乗務員が板ばさみにあることを重々知りつつも、運送会社は適切な「運行管理」を施すすべが容易には見つからない。

    そうした状況下で、深夜に高速道路上で起きた1件の交通事故について調べていくうち、ある一つの道路政策がもたらす影響を考えざるを得なくなった。

    法と現実の乖離がもたらす矛盾。そしてそれによって引き起こされる悲劇が、しばしば指摘されるトラック運送業界。

    「トラックドライバーなんて代わりはいくらでも居る!」。そんな時代は、とうに過ぎ去っており、問題解決のための道路政策の転換が必要だ。

    事故は昨年9月28日の深夜1時過ぎ、愛知県豊田市渡合町にある新東名高速道路上で起きた。

    兵庫県内に本社がある運送会社A社所属の大型トラックが路肩に停車しようとしたところ、後ろから来た別の大型トラックが追突した。

    後ろを走行していたのは、山形県内に本社がある運送会社B社の長野支店所属のトラックだった。

    双方の乗務員の命に別条はなかったものの、A社トラックの積み荷であるワイン約4千万円が全損。A社及び荷主と、B社の間で過失割合の有無も含めた協議が続いている。

    駐停車禁止場所の高速道路上で路肩に停車しようとしていた部分で、大きな過失が想定されるA社が、このほど本紙の取材に応じた。

    A社による事故当時のデジタコの運行記録によると、運行は、事故前日の同27日午後9時過ぎに、東京都大田区平和島から始まっている。

    平均時速90キロを保ちながらノンストップで事故現場まで。この時点で「連続運転時間」は3時間46分。

    A社によると、「トラックの連続運転時間の上限規制4時間を順守するよう指導している」とのこと。

    A社が当時の状況を乗務員から聴き取りしたところ、事故現場の数キロ手前の「岡崎SA(サービスエリア)」に休憩のため立ち寄ろうとしたが、すでに駐車スペースはなかったと話した、という。

    しかたなく、連続運転時間が4時間を超えない事故当時のタイミングで、支障が比較的少ない場所を選んだのが、事故現場だった。

    A社は、同じ乗務員の別の日の運行記録も本紙に開示。記録の数々には、「大田区平和島」から「豊田市渡合町」までの連続運転記録が残されている。

    A社社長は赤裸々に話した。「首都圏と近畿を結ぶ、静岡・愛知の両県内に、深夜空いているSA・PA(パーキングエリア)なんてない。近畿から向かうなら、三重県くらいがやっと駐車エリアが見つかるが・・・」。

    静岡・愛知の両県は、交通の大動脈の中間地点にあり、4時間連続運転を踏まえた運行管理上、休憩が1回で済む。もし三重県あたりで休憩すれば、首都圏に向かうまでに、さらなる休憩が必要というわけだ。

    事故にあった乗務員の過去のデジタコの得点票もA社は開示。入社から2年程度の60歳代の乗務員の、入社当初の得点は、「67.8点」。以後、数か月かけて90点台をコンスタントに出すようになった。

    「連続運転時間やデジタコのボタン操作に、入社当初は慣れておらず、苦労していた。これまで他社でやっていた運転の癖を、60歳になって当社の指導に則ってよく頑張ってくれていた」。

    会社の運行管理の指導に乗っていこうという乗務員の頑張り。しかし、現場に立ちはだかる、駐停車禁止場所での休憩という道路交通法の壁。片方をとれば、もう片方はおろそかにせざるを得ないのが、深夜の東名。新東名高速道路の実態だ。

    「深夜割引をやるから、日付の変わる時間帯にトラックが集中する。深夜だけでなく、いつでも割引が受けられれば」。近畿地方にある別のトラック事業者はそう指摘する。

    昨年11月、「東京町田IC」付近でトラックが停車していたとして、中日本高速道路会社から注意文書を受け取った。

    首都圏に向かうトラックの運行だった。静岡県内で休憩させた後、日付の変わる時間に町田ICを通過しようとしたが、10分程度IC到着が早く、割引適用のための時間つぶしをしたものだった。

    数年前に、「悪質トラック」としてニュースなどに取り上げられたこうした駐停車も、そして追突事故にあった今回のトラックも、根っこは「高速道路の深夜割引にある」と思えてくる。

    「働き方改革」の号令で、にわかに注目されるトラック乗務員の法令順守策は、深夜割引などトラックが集中する現象とは相容れないものだ。

    集中することで駐車スペースの確保にすら事欠き、道路交通法が守れなくなるからだ。

    深夜割引などETC割引制度は、旧道路公団民営化時代の名残の政策だ。基本料金を引き下げずに、「割引」をあくまで名乗るあたり、「利権の温床」という言葉すらかんぐられる。

    希少な存在になってきたトラック乗務員の労働環境を守るのか、道路整備側の論理を守るのか。そうした視点が政治に今、欠かせないといえる。

     
     
     
     

    この記事へのコメント

     
    1. 虎っ苦野郎 says:

      この記事は的確な事をしっかりと伝えてくれていると思いますね。
      深夜割と430(4時間以内で30分休憩)延着は出来ない為に早めに出発、高速道路上で深夜割の為に休憩だけど確かに駐車できない。
      430も守れないようだと監査で容赦なく減点!
      何のため、誰の為の働き方改革なのかね。
      いつもながらの置いてきぼりの業界だよね。

      54
    2. 匿名 says:

      これが現実ですね
      うちは九州から関東の長距離で全線高速でも最低3回、場合によっては4回の430が必要。でもこれは事故、渋滞の何事もなく90キロで走れた場合。
      80キロで運行すると5回取らなければならない事もある。法定速度の80キロで走ればそれだけ運行時間も延びる。その上連続8時間の休息を取らなければならない。安全運行っていったい何なんだろうね?

      もう荷主と着荷主が、積込完了時間と着時間を計算して、両荷主に運行計画をたててもらいたいくらいだ。

      47
      • ナカバヤシ says:

        九州〜関東!リミッターが義務化され430や8時間休息の縛りの中、本当にお疲れ様です。私はもう地場になりましたが、長距離とさほど収入が変わらないので良しとしています。航海に出たら家族と二重生活みたいなもので支出も増えますし。

        18
        • ラミダス says:

          おっしゃる通り。完全に二重生活。単身赴任と変わらない。飽きるし。自炊も面倒。うちはちょっと手当くれるからマシな方だと言い聞かせてる。

        • 匿名 says:

          確かに、手当に近いくらい食費など
          で出費する。

    3. しのばずのいけ says:

      先に休憩場所作ってから、規制してほしいよね。
      うちのドライバーも、みんな寝床探しに苦労してる。
      そもそも、運賃さえ良ければそんなことも気にしないんだけど・・・

      23
      1
    4. 匿名 says:

      緑ナンバーの意味が無い 得点が無い トラック協会 言うばっかりでは何も進まない、規律ばかり、厳しくなって、会社、運転士を懲らしめるだけ、高速料金は、せめて、緑ナンバーの事業用車輛くらい、終日割引の得点が有ってよいのではないか、何も変わらない運送業界

      26
    5. ナカバヤシ says:

      平均時速90km/hってなんだ!私は大型トラックに速度リミッターが装着義務化された2003年から高速75km/h。下道50km/hと自主規制してきたが自然災害や通行止めなど不可抗力以外で延着などした事はない。普通のサラリーマンが就業時間中に2時間とか3時間仮眠を取るか?リミッターが付いていない頃に追っかけをやっていた私から見たら関西〜関東のお散歩コースで仮眠を取らなきゃ走れないヘタレは業界から去れ!向いてないわ!

      7
      59
      • ナカバヤシ says:

        案の定、算数も出来ない三流運転手は反論も出来ずに青ポチが精一杯か?はっきり言ってやる。お前らに75km/h巡航をしろと言っても出来ないだろ?しかし追っかけをやれと言われたら俺は出来る。片道1300kmを毎晩着発していた俺だからな!つまり俺に出来る事はお前らには出来ない。90km/h程度の鈍行で粋がるお前らの遙か上の仕事を俺は出来る。

        結果・・・お前らなんか足元にも及ばねえよ!

        3
        43
        • 脳あり says:

          お前はそれしか脳が無い😁

          10
          2
        • ブリブリまん says:

          平均時速90kに違和感がある事に関しては同意。

          しかし貴男、何と戦ってるの?(笑)
          能ある鷹は爪を隠すんですよ♥

          13
        • いとやん says:

          ナカバヤシは発言にトゲがあるけど、言ってる事は間違いではないかな?私は80だけど、私を何度も抜いていく同じトラックはよくいます。

          2
          1
        • 海江田 says:

          私もナカバヤシ氏に近い速度域の運転手です。やりたくてやってるんじゃなく社命だからどうしようもない。ところで90km/h前後で走る人は速度違反や車間距離不保持、中には合図不履行や追い越し方法等違反と交通違反の百貨店なのに、なんで休憩の法律だけは守るのだろうか(笑)

    6. 毎日毎日レジタコごまかしてるよ! says:

      長距離だけの話しではないですね。
      近距離でも4時間くくり、どこで休息できる場所なんかあるのかな?
      昼前トラック集まる様な所
      トイレ休憩すら停める所があるわけ無く
      知ってても取締る公権力あるし…

      11
    7. 匿名 says:

      岡崎SAが限界地点なら遠州森町辺りからPA巡りするのが常識。路肩停車は違法 比較的休憩しやすい東名経由とか頭使うしかない あと90キロは速度違反 うちは時間なくても法令遵守。路肩停車やPA内の2列目の横止めは邪魔 運転する資格ない

      4
      1
      • ナカバヤシ says:

        それが出来ない無能だから事故するんですよ。ワインみたいな割れ物を積んでいて90km/h出すとかアホですやん。

        9
        5
    8. 匿名 says:

      自分もドライバーで、中長距離と地場
      とやっていて、地場でも広範囲に動き
      特に南関東では430を守れない、停車
      する場所無し、かと言って、配達先の
      センターで30分休憩は取れないし、
      時間過ぎてもあまり路駐はするべき
      では無いと思う、何がなんでも守る
      で重大事故起こすくらなら。
      国も再考してもらいたい、これでは
      業界に人材は来ないか居つかないどちらか
      になる。

      10
    9. 匿名 says:

      実際、割引を全時間にしようが430無くなろうが
      路肩やSA内の好き放題駐車は減りはするが無くならない
      業界全体でなんとかなんて不可能

    10. 初心者 says:

      これ、、
      請け側が現状を分かってるなら一度高速降りるダイヤ組んでその分荷主に運賃提示するだけの話ですよね、、本来。
      そこを一杯x2の業者が請けちゃうから競争が起きるわけで。。。
      そう言う申請を国交省も受けりゃ良いのにそこは自由競争だからと、、、
      工数計算(人工よりちょい細かな計算)と企業規模考慮すりゃお役所もわかるだろうに。。。
      運送法業を理不尽言うばかりぢゃ無くて少しでも体力ある会社の頑張りと、役所による理に叶わない会社の取締双方が必要ですよね。

    11. ブラック企業の現在進行形 says:

      このニュースの書いてある通り!!
      事業者は深夜割引をかけろ、4時間の連続運転には気をつけろ、荷主の要望通りにしろ、事故は起こすな、など言うが取る仕事が元からハードな行程なのがあるから睡眠不足や拘束時間オーバーは当たり前!!
      それに加えパーキングの駐車台数が実働している車より少ないから4時間に1度の30分休憩も睡魔に襲われた時の仮眠も取るのが難しいのが現実。

      九州のトラックが関東に午後以降に荷物を積み込みして翌日着で運行させられたなら拘束時間オーバーどころか仮眠や休憩を取ろうにもパーキングは満車どころか駐車スペース以外にもトラックが停めてあり下手したら出入りすら難しい事もある。

      以上が現実だから道路交通法、労働基準法の両方を守らせるには運送業だけでなく荷主が要望する行程やパーキングなどの駐車スペースなど色々と改善しないと物流絡みの事故を減らすのは難しいと思う。

      10
    12. 配車18年目 says:

      事故もちょくちょく起きてるし、明らかに制度に問題があるって分かってるのに、なぜ誰も改善しようと動かれないのですかね?不思議です。「それはですね、夜間割引をやめるのはダメだからです。なぜダメかというと・・・」とか、改善できない理由を行政や道路公団の皆さんに教えてもらいたいです。

    13. 鬼竜 says:

      高速道路サービスエリアの駐車スペースが無くなる原因には、深夜割引の時間設定にあるのではないでしょうか。私も運送業界で営業兼一部配車を行っているのですが、確かに営業で高速道路を利用した際、深夜0時前ゲート手前で駐車している大中トラックを見かけます。
      手前のサービスエリアは満車状態で駐車スペースは無く、これも仕方ないのかな~とは思いますが非常に危険な状況だと思ってます。冒頭で申しました深夜割引の時間設定ですが、働き方改革というのであれば、労働基準法で深夜とは午後10時~朝5時までのことを指しています。であれば、深夜割引も午後10時~朝5時までの時間帯にするべきではないでしょうか?そうすれば現行の深夜割引時間帯から拘束時間的に2時間は削減できるし、サービスエリアの満車状態も緩和されるのではないでしょうか?試験的にでもいいので行ってもらいたいものです。

      • 逆ルサンチマン says:

        「深夜割引も午後10時~朝5時までの時間帯にするべき」
        これは素晴らしいアイデアかもしれない。
        目から鱗。

    14. 政治家は適正な専門家を雇い、まともな法律の立法を。 says:

      道路交通法、労基、運行管理(道路運送法、貨物自動車運送事業法)という、時間を順守するには厳しい法律が複数ある上に、荷主による厳しい条件の運賃、待機時間、積込み時間、指定到着時間、荷卸し待機時間、荷卸し時間があります。

      前述した問題の根本はすべて「時間」であり「運賃とは時間」ということです。

      政治家はこういった事は、行政から説明を受け、理解しているにも関わらず、「市場原理による自由競争なので、運賃(最低運賃を明言しないと)見て見ぬふりをしています。

      これは大手優遇政策による弊害かもしれません。

      大手に経費がかかることはやらない。大手が潤えば日本経済が潤うという安直な思想でしょうか。

      つまり、荷主側の都合に法律を合わせれば現状のような、無理な状況となるのは至極当然の結果だと思います。

      運行計画とはあくまで机上の「予定」です。

      荷物の積込み上がり時間が、待機時間、積込み時間によって時間がかかれば、当然、運行も休憩も休息もずれ込みます。数十分でもずれ込めば、その時間の補填をする必要があることが法律の順守であるはずです。

      それを法律により、順守させていないのは、他の誰でもなく、立法を行う政治家が
      法令の遵守をしていないのではないのでしょうか?

      長文失礼しました。

    コメントをする

    ※コメントを投稿することにより、利用規約をご承諾いただいたものとみなします。

    内容をご確認の上、送信してください。

     
     
  •  
  •  
  • 「物流ニュース」の 月別記事一覧

     
  • 物流ニュース」の新着記事

  • 物流メルマガ

    ご登録受付中 (無料)

    毎週火曜に最新ニュースをお届け!!

    ≫ メルマガ配信先の変更・解除はこちら