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射界
2020年6月8日号 射界
2020年6月22日
春夏秋冬を四季という。日本人なら当たり前のことだが、国際的には四季のない国も珍しくはない。春から始まって、冬を終えて、また春に戻る。入学、卒業の季節が春というのは、日本人の情緒にあっていると言ってもいい。日本の国花といってもいい桜の季節であるのも、春を別れと出会いの季節として彩っている。
▲入学・卒業を春から秋に変えようとする動きが出た。国際的には9月を入学シーズンとする国が多いようだ。新型コロナの影響で学校を閉鎖したため、学業に遅れが出た児童、生徒を救済する意味もあるという。そうなると国や企業の辞令、異動も9月に変更することになる。引越繁忙期の時期も変わってくるが、果たしてそこまでの改革が可能だろうか。
▲9月入学は今回、見送られたが、もともと4月が入学や辞令、異動のシーズンとなったのは、感傷的な意味ではないと言う。明治維新のころ、政府の収入は「米」が主流であり、収穫直後の9月では、米を換金する時間が少なく、予算が足りなかったためとも言われている。何も日本人の情緒の問題ではなかった。国民の多くにメリットがあるなら変えるべきだ。
▲そうは言っても、現在までに「桜」や「春」は多くの芸術のモチーフとなり、詩や歌でもあらわされて来た。日本人の原風景の一つだ。簡単に捨てにくい。引越繁忙期解消と言う意味からすれば、入学、卒業、異動の「通年化」がふさわしいが、出会いと別れの季節がなくなってしまうのは寂しい。情緒の問題は簡単には解決できない。
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