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射界
2020年6月15日号 射界
2020年7月6日
国際的に日本の文化と知られているものの一つに「漫画・アニメ」がある。海外では子どもしか読まないとされている「漫画」が、日本では大人も愛好している。これまで愛されているのは、「日本には手塚治虫がいたから」だろう。大阪・豊中に生まれ、兵庫・宝塚で育った「漫画の神様」だ。
▲鉄腕アトムやジャングル大帝、リボンの騎士、ブラック・ジャック、火の鳥など、多くの個性的なキャラクターを生み出した。手塚は作品づくりには一切の妥協を許さなかったという。私財をなげうってアニメ作りにまい進し、多くの連載を抱えた。アシスタントを使っていたことから「手塚は自分で漫画を描いていない」と非難されることもあったという。
▲漫画では神様と言われた手塚も、経営者としては「虫プロ商事」「虫プロダクション」を倒産させている。作品づくりに妥協を許さなかった手塚とともに働いていた社員は、いまでいう「ブラック企業」そのものだったという。しかし、倒産した同じ年に連載がスタートしたのが「ブラック・ジャック」。数週で打ち切りと考えられていた連載が長期連載となる。
▲手塚治虫は経営者というよりは芸術家であったようだ。自身の作品にこだわりを持ち続ける。素晴らしい作品を多く残したことは素晴らしい。しかし、経営者としてみれば「神様」には遠く及ばなかったともいえる。従業員と会社を守るためではなく、よりよい作品づくりを追求し続ける。価値観は人それぞれだが、ブラック企業で働きたい人はいない。
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