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射界
2018年4月16日号 射界
2018年4月27日
先輩がつくった道を歩むのは楽で簡単だ。完成した道を忠実にたどればよいからである。そんな人に「何か新しいことをやれ」と指示しても、「前例がない」と反論するだろう。だが詩人の高村光太郎は「ぼくの前に道はない。ぼくの後ろに道はできる」と訴え、新しさに立ち向かう勇気を讃える。
▲時代がどんどん変化していく現在、十年一日のごとく前例踏襲の姿勢では、時流に取り残されて当然であろう。一昔前までは組織を安泰に維持するには「減点主義」がよいとの認識であった。指示された事柄を忠実にこなし、いささかのミスもないように仕上げるのがベストとされた。長い間受け継がれてきた習慣にならって過ごす…それを要諦としてきた。
▲しかし、時代の移り変わる速度は予想を超えて激しさを増す。そして「減点主義」では追い付かず、いよいよ「加点主義」の時代になった。いたずらに「前にならえ」の減点主義に固執していては色あせるばかり。この環境から抜け出て他人と異なる創造性を、いかに発揮できるかに価値判断の基準が進化し、「加点主義」台頭の動きが一段と活発化している。
▲人間の若さは、「創造の楽しみ」の多い少ないで決まると言った賢人がいるが、減点主義にはまって脱出できず、先人がつくった道を踏み外さぬ人に創造性を求めても夢でしかない。「自分の後ろに道をつくろう」という気概こそが若さである。前例のない道をつくり、歩む足どりは活気に満ちている。そこに求められるエネルギーは莫大だが感動もまた大きい。
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