-
射界
2018年7月16日号 射界
2018年7月23日
平家物語の書き出しには「驕るもの久しからず」とあり、フランスの皇帝ナポレオンは「最も大きな危険は勝利の瞬間にある」と説く。いずれも慢心することの愚かさを教えているが、これは洋の東西を問わず、心の奥にしっかり刻みおけと諭しているのに昨今、やや薄れてきているのが気にある。
▲何気ない言動が、相手に「驕り」と受け止められないためにも、常日頃から「謙虚」な姿勢で臨むことが大切だ。戒めを忘れて時として「傲慢」になることがある。では「驕り」とか「謙虚」は、人の気持ちの中に元々〝ある〟ものか、それとも場合に応じて〝なる〟ものかが問われる。古くから戒めてきた軌跡を考えれば、潜在的に〝ある〟ものと考えられる。
▲とすれば、「謙虚」をあえて装い、フリをする人がいても不思議ではない。その姿勢は世にいう「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」となって顰蹙(ひんしゅく)を買うことになる。しかし装いは、いつか綻びて正体がバレる。語る言葉遣いは丁寧でも態度がついてこない。投げかける目線は〝上から目線〟となる。もちろん、当の本人には「傲慢」意識など全くない。
▲それを避けるには「謙虚」が必要。しかし、一足飛びの変化は難しい。ここは無理せず、まず「遠慮」を心掛けることである。思い切って一歩引く姿勢を見せればギクシャクした雰囲気は解消できる。そして必ず、遠慮した箇所は後日、予想外な部分で補われるかも知れない。相手が「驕り」を自覚すれば、いつか「遠慮」した穴は埋められて親近感は高まる。
この記事へのコメント
-
-
-
-
「射界」の 月別記事一覧
-
「射界」の新着記事
-
物流メルマガ