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遺族に過労死疑われ… 明暗分けた「記録の有無」
2010年8月23日
拘束時間の長い業種だけに、労働時間管理が難しい物流業界。荷待ち時間短縮を図るために荷主と交渉したり、ツーマン運行を実施して働く時間を軽減するなど、創意工夫する物流事業者がいる一方で、「どうしようもない」と、半ば諦め状態でドライバー任せにしている物流事業者もいる。実際、納品先や搬出先、道路事情に左右されるだけに、労働時間管理は困難を極める。しかし、難しいからと放置していると、後でとんでもないことにつながる。
埼玉県の物流事業者はあわやという事態に、慌てふためいた。幸い、記録をとっていたため難を逃れたが、「いい加減にやっていたらどうなっていたか」と、?なあなあ?の恐ろしさを指摘している。建設資材を輸送している、その事業者は「搬入先などの現場によって状況が違い、時間の管理は難しい」ため、拘束時間が長くなってしまい、ドライバーも理解していた。
長年にわたって問題なくやってきたが、ある日、同社の60歳のドライバーが急死する。仕事中ではなかったため、単なる急死で事なきを得るはずだった。しかし後日、弁護士から連絡が入り、同社長は驚愕した。遺族が過労死ではないかと騒ぎ始めたというのだ。
確かに拘束時間は長かったが、明らかに過労死するほどの仕事内容ではなかった。
同社長は勤務体系を説明して、書類を提出。その結果、遺族も納得し、過労死認定は免れた。
同社では、労働時間と荷待ちなどの待機時間を分けて記録をとっており、実際の労働時間は法定労働時間内、拘束時間も限度を越えるほどではなかった。同社長は「絶対に働かせすぎではないと考えていたが、しっかりと労働時間を記録していなければ、どうなっていたか分からない」と打ち明ける。
また、「会社を守るためには、コンプライアンスを徹底し、しっかりとリスクヘッジしなければならない。今回の件で、?なあなあ?の怖さを感じた」としている。(高田直樹)
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