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民間車検指定工場、認証整備指定にシフト 設備投資で維持難しく
2010年9月17日
運送事業者の自家整備で民間車検指定が認められれば、休日でも好きな時間に車検ができる。100台を保有する運送会社では十分に利益が出るため、同指定を取得する運送会社も多かったが、景気の低迷による減車や車両のコンピューター制御による設備投資などから、認証整備指定に変更する自家整備が増えてきているようだ。
大阪市で大型トレーラなどを保有する運送会社でも、バブル経済時に大型トレーラやトラックなど100台を保有。その後、自家整備を目指し民間車検指定を取得し、自社工場で車検や修理を行ってきた。しかしバブル経済崩壊以降は減車し、最近では車両のコンピューター制御にともなう機械の導入が必要となり、認証整備への変更を考えている。「バブル期は100台近い自社車両と取引先の車両など、多くの車検・整備が行われていた。しかし、車両のコンピューター化で新たな設備投資が必要になった。また、ディーラーやメーカーによる低価格車検やクレーム修理などの兼ね合いから利用者が増えてきており、(整備工場の)維持が難しくなってきている」と話している。
大阪市西成区で民間車検指定工場を運営する関西自工の上山松徳社長によると、「民間車検指定を受けるには、6人の整備士の常駐が必要。運送事業者で民間車検指定を維持するには、自社だけでも100台の車両がないと採算が取れない。景気低迷による車検数減少や減車などから、認証整備に切り替えるケースも増えているかもしれない」と話す。
また、「最近の車両はコンピューター化され、車両診断を行う場合は専門の機械(100万円程度)が必要。さらに車両メーカーのほとんどは、万が一、不良が発生した場合、速やかにリコールを実施するために、ディーラーでの車検・整備を進めている。『ディーラーでの車検を行わない場合は、クレーム修理の対応ができない』などとしたうえに低価格車検をうたっているため、民間車検指定修理工場での車検・修理が減少してきている」と説明する。
近畿運輸局の担当者は「21年度で、民間車検指定工場から認証整備に変更した自家整備は15件。事業者の体力も厳しい状態であるため、減少しているものと思われる」と話している。
自家整備で民間車検指定資格を保有していれば、いつでも車検が受けられ、車両を車検のために止める必要もなく便利だったが、民間車検指定自社工場の維持は時代とともに厳しくなっている。(佐藤弘行)
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