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第19回:黒字転換に疑惑の目
2010年9月22日
金融機関から融資を受ける際に、試算表や決算書の提出を求められますが、「試算表や決算書に書かれている数字が黒字の利益でなければ融資の決裁がされない」という話をよく聞きます。
ある社長は、金融機関に赤字の試算表を提出したために、「金融機関に一生忘れることのできないことを言われた」と話してくれました。社長の会社は毎月の資金繰りが大変だったため、金融機関に「借金の元金据え置き、利息のみを支払う」という条件変更を申し込み、直近の試算表を提出しました。毎月の資金繰りが苦しいというぐらいですから、直近の試算表は当然、大赤字のマイナスです。
社長にしてみれば、会社が赤字なのだから、融資の条件変更を申し込むのは当然のことで、普通の話だということです。この申し込みをしてから、すぐには金融機関から返事はありませんでした。
2か月が経過し、社長の会社は決算を迎えました。社長は決算を赤字にしてはならないと、古い在庫を売り払う努力をして業績を黒字に転換、わずかですが黒字決算にしました。
そして、この黒字の決算書を金融機関に提出したところ、金融機関から電話があり、「社長さん、この決算の数字は本当ですか。ついこの前まで赤字だったのに、黒字になるのはおかしいじゃないですか。本当は会社の業績はどうなんですか、正しい数字で決算したほうがいいのではないですか」というのです。
社長は激怒し、言い返したかったのですが、そこは金を借りている側の弱み、丁重に決算内容の説明をして粉飾決算ではないことの説明をしました。社長は「正直に数字を出しているのに、どうしてこんなことを言われるのか」と怒り心頭で、「この金融機関の借金は返したくないと思ったほどだ」と話しています。
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