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    失敗から得た教訓

    2010年10月6日

     
     
     

     運送業界に限らず経営に失敗は付き物。ちょっとしたことが、忘れることのできない大きな失敗を招いたというケースは多いが、さまざまな失敗を糧とし、業績向上につなげることができた経営者は少なくない。予期せぬ荷主企業のM&Aや営業上の失敗など、過去の苦い経験を教訓として企業体質を改善させ、サービス向上を実現させた経営者に話を聞いた。



    「荷主シェア4割に」リスクヘッジに力

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     誠輪物流(埼玉県鶴ヶ島市)は平成8年4月、資本金300万円でスタート。その後、自動車部品輸送を中心に業績を伸ばし、平成20年の決算では売り上げ、利益ともに最高の数字を計上した。

     日本のみならず、海外にも進出し、もはや世界の企業となった荷主を相手に、磐石の経営を行っていた同社だが、同年9月に思いもよらぬ事態に遭遇する。

     アメリカで起こったリーマン・ショックで日本経済は一気に冷え込み、同社の荷主も大打撃を受けた。野坊戸邦夫社長によると当時、「荷主1社への依存度が高く、売り上げの7割のシェアがあった」という。経営は一気に厳しくなっていく。「仕事が4分の1になり、会社存続の危機に陥った」と話す同社長は、「想像を絶するもので、『もう駄目かも知れない』と思ったこともあった」と振り返る。

     「世界を相手にしている企業だから、リスクも少ないとタカをくくっていた」というが、こうした事態に直面して考えを改めさせられたという。

     同社はすぐに大幅なコストカットに着手する。従業員の解雇やトラックの大幅な削減も実施し、「会社を存続させるために月間4000万円のコスト削減を強行した」という。

     「従業員には本当に無理を言った」というが、徹底したコスト削減で同社は、倒産という最悪の事態を免れた。その後、他業種へも営業展開し、7割あった荷主のシェアを4割まで落とすことに成功。リスクヘッジを図っている。

     「大企業だから大丈夫と事業拡大を図ってきたが、それは甘い考えだった。今回の一件で本当に大切なことを学んだ」と話している。(高田直樹)

    確認徹底し事故ゼロに

    1006_kamisyou.jpg 大阪市平野区に本社を構える上商では、パチンコやパチスロなど遊技機の輸送を手掛けている。パチンコ台などの配送は警察官立ち会いの下で行われることから、絶対に誤配や延着は起こせない。警察に登録されてから納品するため、間違って配送すればパチンコ店の開店に大きく影響し、荷主だけでなく自身も大きな損害を被る。

     30年以上前は一般貨物輸送を手掛けており、さまざまな輸送を行っていたが、その中でも引越業務の最中に大きなミスが発生したという。それは引っ越しの依頼者を間違ってしまい、他のお客の引越業務を行ったというもの。上野渉社長は当時について、「輸送当日、岡山から和歌山までの引っ越しと岡山市内での引越業務を請け負った。たまたま2件とも同じ町内の顧客で、社長もドライバーで現場に向かっていたところ、1人の女性が自宅前で手を振っていた」という。

     社長は和歌山までの依頼主と思い込み、話も簡単に済ませ、積み込み作業を終了させて、「何気なく『遠いところに引っ越されるのですね』と尋ねると、『いいえ、すぐそこですよ』と不思議がられた。到着地を確認すると、自身が担当する依頼者ではなかったことに気付いたが、積み込みは完了していたので、この依頼者の引越業務を慌てて済ませた。本来の担当である岡山市内から和歌山までの依頼者の所に向かうと、『遅い』と激怒されたが、事情を話して許してもらった」と説明する。

     それ以降は、どんなに近い関係の荷主、行き先でも、商品や行き先を必ず何度も確認する習慣がついた。現在の業務でも社員には荷物・行き先確認を必ず行うよう指示しており、商品事故ゼロの会社になったという。(佐藤弘行)

    些細な言葉に要注意

    1006_masuda.jpg 増田商会(大阪市東住吉区)の増田庸一社長は「色んな失敗をしてきた。得意先の会社の前や輸送中に商品を落としたりした。顧客との信頼関係を築けていたので、幸いにも大ごとにはならなかったが…」と振り返る。

     その中でもいまだに忘れられないのは、新規の商談で何気なしに話した一言で商談が白紙になってしまったことがあるという。 商談中に「A大手メーカーとお付き合いしている」と話すと、その会社はA社をライバル会社として意識していたらしく、そこで話が終わってしまった。「それから何度か訪ねたが、話も聞いてもらえなかった」と説明する。

     「いま考えてみれば、何も知らないとは言えライバル会社の名前を出したのはまずかった。相手の立場で考えれば、嫌な思いをさせてしまったと思う」と話す。

     「安心してもらうために話したことが、相手には余計な一言になるケースもあると肌で感じた。それから新規の商談の際は、具体的なお客様の名前や余計なことは言わなくなった。うまくいきそうな商談でも、ちょっとした言葉や言動がアダとなって展開が変わってしまうことを学んだ」と語る。

     新規開拓をする時に注意していることは、「顧客同士が、どこでつながりがあるか分からないので、しっかりと相手の情報を聞き出すようになった」という。

     「相手の情報や話を聞きつつ、言葉を選びながら話ができるようになった。営業は、失敗して学べることがたくさんあり、次につなげていけば、いい結果が出せる。また、少しの注意で失敗も防げるようになる」と教訓を語る。

     「これからも、相手の話している意味をしっかりと理解して商談していく」と話している。(中村優希)

    身の丈にあった仕事を

     「見栄や外聞のために仕事をやっていないか?」。藤井靖二社長(藤井運送、兵庫県篠山市)が心がけているのは、そんなことだ。

     ずいぶんと以前のことだが、「仕事の都合に合うトラックを用意すれば契約する」。あるメーカーからそう言われて800万円のトラックを新たに手当てした。ところが、仕事が続いたのはほんの3か月。発注のあった部門は別の会社に事業譲渡されてしまい、トラックは宙に浮いてしまった。

     苦い経験をもとに思ったのが、「現状のトラックでこなせる仕事だけする。階段は踏みしめて上がるしかない」ということ。ひいては見栄を張ることを戒める。
     

     「古いトラックでも十分に仕事はできる。前を向いていくが、階段をすっ飛ばしていないか確認することが大事だ」と強調している。(西口訓生)

    法令順守体質に改善

     東京都練馬区の運送会社は4年前、元従業員から未払い賃金の請求書が届いた。採用して3か月後、突然、会社に来なくなり、連絡も取れなくなっていた従業員からだった。調べてみると彼の主張には法的根拠があることがわかった。わずか3か月でその額は30万〜40万円だったという。社長は「いい勉強になった」と振り返る。

     これをきっかけに、会社の賃金体系と就業規則を見直した。社労士や労基署職員と話し合い、制度の適法性を一つひとつチェックしていった。さらに適法な賃金体系を維持するには荷主の理解を求める行動も必要だったという。

     拘束時間の長い仕事は、荷主に掛け合ってルート変更などを行い運転時間の短縮を図ったほか、1日12時間を超えるような長時間の仕事については、1台での配送は無理と判断。2台でコースを回る設定に変更し、荷主には事情を説明して理解を求めた。それでも1台当たりの単価は下がったという。

     社長は「スタッフに過酷な労働を強いてしまうと判断すれば、得意先であっても言っていかなければならない。それで仕事を切られてしまうとすれば仕方がない。過酷な労働環境でなければ食べていけないという業界にならない方がマシだ」と話す。

     こうした努力の甲斐あって、同社では12時間を超える長時間労働は、ほぼなくなった。社長は「今のところ、どこからも違法性を指摘されることのない労務管理を実現できている」と自信を見せる。(岩本浩太郎)

    反省繰り返す見積もり

     松下運送(東京都江戸川区)の松下章一社長は「失敗と成功と反省を、日々繰り返しているのが『見積もり』。特に最初の提示額が肝心」と話す。「一定の提示額はあるが、詳しい条件によって足したり引いたりする。その幅の中でどこをスタートにするかが問題だ」という。

     「インターネットの普及で、都合のよい条件を当てはめた安い額を念頭において話を持ってくる荷主も中にはあり、正当額の高めの部分を提示した時点で話が途切れた。そうかと言えば、1回だけの仕事と聞いて次につなげるために必要以上に利益を削って提示したら、そのまま継続になって利益がほとんどない状態に陥った仕事もあった」という。

    「見積もりだけは何年やっても難しい」と話している。

    社員と若い衆から変化を養う

     東京都と埼玉県に会社を構え、40年近く運送業に身をおくA社長は「世間の勉強をさせてくれるのは『社員』と『若い衆』。この業界で会社を経営していると、色々な種類の人間が接触してくる。ドライバーとして入ってくる社員も、きちんとした人もいれば、紙袋一つ持ってフラリと来る人もいる。人を見る目や対応を経験し、自身も変化してきていると思う」と語る。(小澤 裕)

    内需・外需型産業のバランスを調節

     「取り扱う貨物について、工業製品をはじめとした外需型産業と食品や日用品などの内需型産業とのバランスをうまく調節していきたい」と話すのは、これまで自動車関連の顧客を主体としてきた物流会社の社長。2年前のリーマン・ショック以降、メーンの取扱貨物は激減し会社全体の売り上げを直撃した。

     「比較的波動が緩やかな内需型産業の割合が、もっと高ければダメージは小さかったはず」と振り返る。「景気が悪化したことで、ようやく内需関連産業の良さが見直されるようになった」。しかし、新たな分野に仕事の幅を広げることについては「ノウハウがなかったり、車両への投資が新たに必要となったりと、実際に行うのは頭で考えるほど簡単ではない」と話す。

     ここにきて新興国の景気拡大ペースが目立ち始め、輸出関連産業の業績回復が顕著となってきた。「だからといって、すぐに軸足を戻していては教訓が生かされない。今後の成長余地の大きな外国を相手に商売することは魅力的な半面、常にリスクと隣り合わせ」と指摘。両者のバランスをうまくとりながら安定的な成長と利益確保を目指す考えだ。(中道幸男)

    到着時間は遅くなったが…

     「少し前にね、改善基準告示の運転時間でやられてね。連続運転時間は4時間を超えてはダメで『1回が連続10分以上かつ合計30分以上中断しなくてはいけない』というでしょ。うちの場合は難しくてね。東京から大阪まで高速道路を使っても、高速に乗る前と降りた後の一般道路で時間がかかるものだから、どうしてもひっかかってしまい、何度も車両停止処分を食らった。処分が強化されたこともあり、最後は本当に車が回らなくなってしまい、荷主に平謝りした。それに懲りて、今はきちんとした運行管理、運行計画に基づいてやってるよ。荷物の到着時間は当時より遅くなったが、違反するよりはマシと荷主も言ってくれている」(東京都墨田区のトラック業者)

    帰り便で大失敗

    1006_kansaiworks.jpg 自社トラックが間に合わないときに協力業者から傭車を頼むことがあるが、よくあるのが長距離運行から戻って来る「帰り便」を使うケース。しかし、複数の事業者を介しサービス品質の悪い事業者を使う場合もある。関西ワークス(大阪府東大阪市)は5年前、帰り便を使って失敗。荷物の運行に大きなロスを生じさせかねない事態に陥って以来、帰り便は辞めて、すべて立ち便に切り替えた。

     帰り便の失敗は相次いで発生した。最初は、傭車先の運転者が積み地で倒れた。運転者はそのまま病院に運ばれたが、原因は過労運転。ほとんど睡眠をとっていなかった。地元大阪の運送事業者を即座に手配して事なきを得たという。

     次は、帰り便を出した事業者が出荷日を勘違いする事態が発生。傭車先の4?トラックが午後3時になっても積み地に到着せず、連絡すると出荷日を間違えていた。ちょうど繁忙期で空きのトラックは見つからず、引越会社にツーマン運行で仕事を頼み、朝8時までに無事に荷物は届けられたという。関東までかかった運賃は27万円だった。

     それ以来、立ち便しか使わないようにしている。岸本誠一社長は「帰り便は安いかわりにサービス品質が悪いことがあり、信用問題に発展しかねない。立ち便は運賃は高いが、トラブルはほとんど発生していない。損をしてでも明日につながっていく」と話しており、帰り便の失敗を今日に生かしている。(大塚 仁)

    運送から撤退「保険に盲点」

     「他県に構えた営業所のドライバーが重大事故を起こしたことがきっかけで、運輸支局の監査が入った。はっきりいって事故以外にも不適切な実態があったのは事実で、それなりの処分がくることも覚悟していたが、それを待たずに運送事業から撤退することにした」と西日本地区の運送社長。

     ただ、事業意欲がなくなったわけではないようで、「運輸支局の一方的かつ、機械的な対応に腹が立ったから、その場で思わず『もう、やめる』と吐き捨てた」というのが実際の状況らしい。

     実は、この社長は二つの運送会社を経営しており、「やめる」のは、そのうちの1社。残す格好になった会社は法律すれすれの保有車両5台という状態だったが、事業廃止する会社から20台近くのトラックを移籍させることで、外から見れば車両を集約し事業形態を効率化したようにも映る。社長も納得の表情を見せていた。

     しかし、「意外なところに落とし穴があった」という。以前から二つの会社は同じ損保会社の任意保険に加入していたが、5台しか保有していなかった会社は当然ながら10台以上が条件となるフリート契約であるはずがない。

     「とりあえず、1年間は1台ごとの新規契約になるらしい。割高な掛け金を払うことになってしまったが、勉強不足だったことは否めない」と苦虫をかみつぶしたように話している。(長尾和仁)

    点検と保険の重要性を確認

     大阪府門真市の運送会社は、今年3月に起こした交通事故から点検と保険の大切さを学んだという。高速道路走行時、タイヤがバーストして中央分離帯を破壊し荷物の一部も破損した。同社長は「タイヤがバーストした原因は分からないが、車両は4年前に購入したばかりでバーストするとは思わなかった」と驚いている。

     普段から乗車前点検などを行っていたが、「事故以来、タイヤの空気圧やボルト、ナットの緩みなどのチェックは、より一層注意して実施していかなくてはと感じた」と今回の事故を教訓にしている。

     また配送中の事故だったこともあり、上限5000万円だったものを無制限の荷物保険に切り替えた。同社長は「今回は保険で賄えたが、賄えなかったら大変なことになっていた。荷物保険は無制限に入らないといけないことを学んだ」と語る。

     「乗車前点検などを行っていたことで安心して運転するのではなく、基本に忠実な運転を心掛ける大切さや恐怖感と緊張感をもって運転する重要性も学んだ」という。

     「事故をなくすことは難しいが、より一層、点検や運転には注意してやっていく」と同社長。しかし、高速道路の修繕費の請求がまだ届いておらず、「費用がどれだけかかるか分からない」と不安をもらす。(山田克明)

    苦しんだ対人関係

    1013_izumi.jpg 「失敗というか、心が弱くなるときがあった。特に対人関係でひどく落ち込んだことがある」というのは、和泉冷凍運輸(滋賀県守山市)の吉川康徳社長。「どうしようもなくなったとき、助けてくれたのが先輩や仲間だった。KTSや青年協議会に入って3年だが、本気で心配してくれて叱ってくれる先輩を得ることが出来た」という。

     「社長というのは会社では一番上の立場。だれからも怒られることもないし、ひどく孤独。だからこそ、本気で叱ってくれる先輩や仲間は本当に自分自身の財産だと思っている」という。「そんな輪を広げるためにも青年協議会の事業には積極的に参加し、仲間を広げようと努力している」とも話す。

     「他府県との交流会は絶好のチャンス。今まで知らなかった事業者と知り合うきっかけになる。知り合いが増えるほど、仕事の幅は広がっていく。最近では大阪や奈良へ行く際に『声をかけてや』と言ってもらえる同業者が増えた」と笑う。

     「そういった先輩や仲間が増えたことが、売り上げを盛り返してきた要因。対外的にも社内的にも、対人関係では苦しんだ。それは失敗とは違うかも知れないが、それを乗り越える必要があるのは同じ。それが私にとっては先輩と仲間だった」と説明する。

     「仲間を作ろうとしないのは、損をしているのと同じ。自分のカラに閉じこもっていては、事業にも幅が出ない。他人のことを真剣に叱ることはなかなか難しい。でも、それが出来る仲間こそ本当の財産」と強調する。(小西克弥)

    作業着からスーツへ

     美栗陸送(岐阜市)の栗本佳孝社長は、スーツ姿を徹底している。保有車両6台で、社長自らがハンドルを握るケースが多いが、あえて作業着を脱いだ。

    1013_kurimoto.jpg 「景気がよかった頃は率先してハンドルを握っていた」と話す同社長。ドライバーと同じ目線で、かつ自らが稼ぎ頭となることで見本になると思ってきた。しかし、急激に仕事が減少した2年前、その考えが必ずしも正しくなかったことに気づいたという。

     「先頭に立ってきたはずの自分の仕事もなくなってしまった」。そこで作業着からスーツに着替え、トップセールスをすることを決意。配車業務の傍ら、営業訪問に明け暮れた。そして仕事が安定した現在は、これまでなおざりとなっていた労務管理も勉強しているという。

     これまで自分が信じてしてきたことを変えることに相当の勇気が必要だったと語る栗本社長。というのも、「自分だけスーツを着て偉そうにしていると、ドライバーに思われるのが嫌だった」からだ。

     しかし、「社長業を学ばなければ先がないことが分かった。今ではドライバーの目も気にならなくなった」と自信を持って話す。(加藤 崇)

    信用獲得第一に

    1013_torabox.jpg トラボックス(東京都渋谷区)の吉岡泰一郎社長は、「信用は簡単に失うもの。信用を得るための努力は厭わないが、先方に迷惑を掛けていないかと常々、考えている」と語る。

     「以前にテレビの取材を受けた際、会員の皆さんに(その旨を)案内したが、大きなニュースが入って放送されなかった。テレビの前で待たれていた方もいたはずで、時間を無駄にさせてしまった。『相手に迷惑をかけてはいけない』と猛省した」という。「信用をいただけるということは非常に重要。何事にも慎重に取り組んでいきたい」と語る。(大西友洋)

    言葉の食い違いがトラブルへ

     「仕事の失敗で思い出すのは名刺交換のこと」と話す神奈川県内の若手運送事業者。ビジネスマナーでの失敗から教訓を得てきた。

     もともとは他業種で技術屋を目指していたが、先代の後を継ぐことになった。社長になった途端、多くの場面で名刺交換する機会が増えた。ト協など様々な集まりであいさつして回るうちに「同じ人に何度も名刺交換をしてしまった」。若いからと大目に見てもらえるかもしれないが、社長として会社を代表する立場でありながら、ふがいない思いをした。

     「それ以来、その日のうちに名刺の裏に出会った日付と場所を書いて、記憶するようにしている。皆さんは当たり前にやっていることだと思いますが」と話す。

     もうひとつの失敗は、交渉での言葉遣い。同社長は「学生の頃から話すことが苦手だった」という。社長になってからは話す機会も増え、場数を踏むようにしていたが、荷主との何気ない会話からトラブルになってしまった。

     同社にとって優良顧客である荷主に専属で入っていたドライバーが変わることになった。荷主から高く評価されていたドライバーだったため、同じサービス品質のドライバーを配属しようとして、あいさつに行った同社長は「あのドライバーのどこが良かったんですか」と聞いた。

     荷主がドライバーを評価していた点を確認し、教育に生かして同じ輸送品質を提供しようという気持ちからの問いかけだったが、担当者には反対の意味に聞こえてしまい、荷主の評価能力をけなしたように捉えられてしまった。

     担当者は怒り、前任のドライバーにまで電話して「お前の所の社長がこんなこと言っていたぞ」と報告。そのドライバーは社長に電話してきて「一生懸命働いてきたのに、あまりにひどい」と憤慨。説明して納得してもらったが、「言葉は大切で、本当にちょっとしたことで全く反対の結果になってしまう」と自らを戒めている。(千葉由之)

    接待で新規獲得は間違い

     「接待漬けで、新規顧客を獲得するのは間違い。バブルがはじけてもゴルフやスナックで接待し続けてきたが、長続きしなかった。顧客とは信頼だけでつながっている。しっかりしたサービスで応えるしかない。時間をかけて親密になっていくほうが長続きする」(中部地区・K物流顧問)

     
     
     
     
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