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収入増やしたいドライバー 「個人償却制」を希望
2011年12月9日
運送業はほかの産業と比較して、荷待ち時間などの関係で必然的に残業時間が増加し、特に食品輸送は小口で、なおかつ倉庫・物流センターへの順番待ちが長時間に及ぶことから、残業時間が月100時間を超えることも珍しくない。このため、未払い残業賃金を請求するドライバーも現在では多くなり、運送事業者はコスト高になるのを承知で、人材派遣やアルバイトを使うケースも多いようだ。しかし、その一方で、収入を増やしたいために個人償却制などを希望するドライバーも存在するようだ。
大阪府でスーパーの食品配送を行う運送会社は、法定時間内では配送件数・個数に限界があることから、個人償却制による勤務体系を要望した。しかし償却制と言っても、社員と同様の勤務体制であることから労基法に引っかかる。いくらドライバーが長時間労働を要望したとしてもハードルを超えてしまうのだ。労働問題に詳しい人物に問い合わせても、個人償却制を導入したとしても、あくまでも社員は社員で、個人事業者にならない限り時間外の賃金も発生すると指摘された。現状では稼いだ分を時間外賃金に移行し、売り上げによっては未払い賃金が発生する可能性もあるようだ。
そんな中で、同社はコンサルタントから、「社員として働くことを希望するドライバーは現状のままで、収入を増やしたい、稼ぎたいというドライバーに対しては、企業組合に移行して、傭車として下請け業者になること」をアドバイスされたようだ。
企業組合は基本的に個人事業者が加入する組合で、当然、違法行為による点数制では減点され、減点次第では事業停止、取り消しなどに発展してしまう。また、運賃などの金銭のやり取りも、仕事を与える企業が、傭車である個人ドライバーに直接支払うことは名義貸しにつながることから、組合を通じて運賃を支払い、組合から組合員に給与として支払うことが前提だ。
個人償却制を考えていた事業者は現在、ドライバーに対して、企業組合での事業展開方法を説明しているという。未払い賃金問題が表面化して、運送事業者やドライバーは、様々な方法を模索しているようだ。(佐藤弘行)
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