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    仕事は暇でもコスト増 実運送の「高速代」「燃料代」

    2012年6月18日

     
     
     

    truck2_0618.jpg 「仕事は暇なのに、どういうわけか軽油代と高速料金の支払いが増えている気がする」と話すトラック事業者。忙しくて高速利用が増えているというなら話もわかるが、いくらか新年度に入って活発化した荷動きも、5月の連休が終わったころから再び急降下の状態。それに、高速道路を利用する機会が増えれば自然と燃費は向上するはずで、高速代も燃料費も増えているという状況は理解に苦しむが、こうした声は業界関係者から少なからず聞かれるところだ。



     日用品や機械部品などを扱う広島市の運送会社は従来、西は北九州、東は関西までをメーンに運行してきた。しかし、近年は受注量が目減りするばかりで、「昨年初めから、旧知の同業者のアンダーで長距離仕事を増やした」と社長。それまでも、東京方面への長距離運行を翌々日の到着予定で組むことはあったが、「新しい仕事は翌日の午前必着」という。

     同社の場合は従来、運行費を浮かせたければ一般道を走るというドライバー任せのスタイルでやってきたが、「翌日着なら高速道路を使わざるを得ない。いまは無理をすれば労働時間でやられる」。深夜割引を使えば料金は半額になるとはいえ、確実に月間の高速代は膨らんでいる。

     一方、同市に営業所を構える食品輸送のトラック事業者は今年から、従来業務である大阪方面の運行でオール高速の利用に切り替えた。社長は「それまではバイパスなど部分的に高速を利用していたが、荷物量が減って運賃は下がるし、軽油は高いまま。時間指定は厳しく、このままでは確実に食べていけなくなる」と説明。

     全線高速にシフトしたことで、「午前中に荷物を下ろし、それから帰り荷の積み込みに回るが、こだわったのは『その日に(広島で)下ろせる荷物』であること。その後、別のドライバーが宵積みに出掛ける」。法的にいえば1日の最大拘束時間などで問題がないわけではないが、「(帰り荷を)翌朝に下ろしたのでは時間が無駄になる。トラックは動いてナンボ。いまの運賃相場では、そうしないと給料さえ払えない」という。

     運賃と別に支払われるならいいが、仮に持ち出しなら高速代は抑えたい要素。ただ、労働時間を圧縮する対策として、また、高速利用による燃費向上で、軽油代の支払いを軽減したいという思いも強い。2年前からオール高速利用の運行形態に変更した雑貨輸送の社長(岡山市)は「燃料代と高速代を天秤にかければ微妙かもしれないが、コンプライアンスを考えれば選択の余地はない」と話す。

     一方、北関東方面へ大型トラックを走らせている神戸市の運送会社には違った悩みがある。「従来は部分的に高速道路を使い、一般国道を走っている間に取引SSで給油していたが、元請けからドライバーの労働時間を厳しく指導され全線高速に変更したものの、高速には既存の取引SSがない。新規扱いということで保証金を積んでまで、割高な軽油を買わされている」と、これもあれものコスト高にタメ息交じりの様子。

     市中のスタンドで給油するトラック事業者の多くは平成23年の年初から現在まで、3ケタ価格での軽油購入を続けている。さらに、トラック事業者ごとに販売金額の上限を設定する燃料販社の動きも一段と強まっており、購入枠を超えて買おうとすれば、保証金を求められる例も珍しくない。こうした状況が燃料代の支払額を膨らませる一因ともなっているようで、「ガソリンとは違って軽油は産業油。国主導による低価格・安定供給の施策を早急に講じてもらいたい」との声も響く。(長尾和仁)

     
     
     
     
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