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市街化調整区域で本社登記 行政書士ら「グレーゾーン」
2013年1月16日
運送事業は規制緩和に伴い免許制から許可制へと変わった。免許時代は車両の点検場として有蓋車庫が必要で、建物が建てられない市街化調整区域には車庫や本社を構えることが不可能であるため区域外の土地で本社事務所・車庫を構えるのが当然だった。しかし、許可制になってからは有蓋車庫を構える必要がなくなったため、一部の運送事業者は市街化調整区域に本社を構えているようだ。
大阪府岸和田市に本社を構える運送会社は、同和泉市で倒産した運送事業者の中古車両を買い取る際に、本社事務所が市街化調整区域であることを知った。同社社長は市街化調整区域での本社登記はできないものと思っていたが、倒産した会社の登記は紛れもなく市街化調整区域であった。このため、法務局に倒産した会社が、なぜ市街化調整区域で認められているのか理由を聞くと、「仮に川の土手であっても、郵便物が届く土地であれば本社登記は可能」と説明を受けた。しかし、ト協支部では、基本的に市街化調整区域での本社登記は違法で、同社社長に対し「支部会員事業者である限り、市街化調整区域での本社登記は避けてもらいたい」とした。
また、市街化調整区域を本社とする和泉市の運送会社社長は「当社は数十年前から市街化調整区域で本社登記し社長宅を営業所としているが、実際は本社で実務を行っている。今まで行政から指摘されたことはなく、違反ではない」と話す。
許可申請を行う行政書士に話を聞くと「基本的に市街化調整区域での運送事業の本社登記はできるが、近くに賃貸でも自宅でもいいので営業所は必要。行政から指摘を受ける可能性もあり、一概に何の問題もないとは言いにくい。場合によってはト協支部と同様の行政処分もあり得る」と指摘している。
また、市街化調整区域で車庫を構え、自宅を本社登記している運送事業者の社長は「市街化調整区域では絶対に本社登記できないと理解していたため、本社を車庫近くの自宅にし、営業所として市街化調整区域に車庫を置いたが業務上の支障はある。市街化調整区域でも本社登記できるのであれば変更したい」と語った。
行政書士や業界関係者からは、市街化調整区域で本社登記は可能であるが、何らかのトラブルや事故が発生した時には様々な支障もあり得るという。土地価格が安いとはいえ、市街化調整区域での本社登記は慎重に考える必要があるようだ。(佐藤弘行)
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