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フェリー・ロードに業務改善命令 「不健全な運営」通報
2013年3月18日
運送会社などを組合員に抱え、全国に展開している異業種協同組合のフェリー・ロード協同組合(鬼塚興一理事長、札幌市中央区)は7日、所管する北海道運輸局、北海道経済産業局、北海道開発局、厚労省、北海道厚生局、農水省の6機関から業務改善命令を受けた。組織運営の正当性そのものに疑義があるとする指摘で、同協組は「未熟な点があったことは事実。組合員には迷惑をかけないよう、指導を受けながら訂正していく。組合員に大きな影響は出ることはない」としている。「協組に対して、このような改善命令を出すケースは多くはない」(北海道経済産業局)という。
同協組は93年に北海道知事の認可を受けて発足。高速料金の共同精算や燃料の共同購買などの事業を行い、3000社を超える組合員を抱えている。本部を札幌市に構え、関東、中部、関西、九州にそれぞれ支部を置き、事業地区は44都道府県。11年度の売上高は171億5000万円にのぼっている。行政から指摘されたのは、?総代の選挙を実施していない?総代会及び理事会の議事録の記載が不適正?理事会が承認していない利益相反取引を行った?監査が適正に実施されていない??の4点。
同協組は近日中に法令順守体制を確立し、健全な業務運営を確保するため内部管理体制の充実・強化を求められることとなった。
具体的に取らなければならない改善措置は、指摘事項に対応する次の4点。?総代の選挙を実施のうえ、業務改善命令を受けた理由について総代に説明するとともに、不適正に総代が選出されていた過去の総代会の議案を改めて総代会の議決に付す?総代会議事録及び理事会議事録を作成する?代表理事を同じくする他の2協組との取引について、法の規定に基づき理事会の承認を受けるとともに、取引後は理事会に報告する?監事は、理事の職務執行状況の監視を含め、組合の業務及び財産の状況を調査し、監査を厳格に実施する。
これらについて同協組は業務改善計画書を21日までに行政に提出し、5月31日までに実行することが求められている。対応できない場合は、「行政庁は、(中略)その組合又は中央会に対し、解散を命ずることができる」と規定されている。
発覚したきっかけは「匿名の情報提供」(北海道経済産業局)。この内容を踏まえて定期検査報告の調査や組合員への聞き取りを行った後、立ち入り検査に踏み切った結果、問題が判明した。
「総代は選挙ではなく、個別に依頼して選んでいた。総代会や理事会を構成する者が適正に選任されていないため、議案の承認も有効ではないということになる。鬼塚氏が代表理事を務める他の協組との取引については理事会の承認を必要とするが、理事会の正当性も問題となっているので、これも同じく有効性に疑義が生じる。業務停止を命じたわけではないので、今すぐに一般の組合員に何らかの不利益がでるわけではない。提出される改善計画の内容を確認し、その後の対応を考える」(同)という。同協組も「期限までに問題点を訂正し、組合員に影響がないようにしたい。近く文書で経緯や対応などを説明する予定」としている。
北海道の運送事業協組の役員は「改善命令を読むと総代会での意思決定の全てに正当性がなく、監査も適正ではないということなので、不健全な運営といえる。組織のあり方がお手盛りだったのではないか。協組の事業全体の正当性が問われていると思うが、これだけの運営を続けてきたとしても、大きな罰則を受けないということに逆に驚いている」と感想を述べている。(玉島雅基)
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