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    書面化推進に賛否 「ありがたい」「より厳しい」

    2013年5月10日

     
     
     

    syomen_0513.jpg 国交省は、トラック運送事業における書面化推進ガイドライン案をまとめ、荷主、取扱事業者と実運送事業者間の運送契約の詳細を書面に残すことで、過労運転や過積載など安全運行の推進を図る方針を示した。実運送事業者は書面化に一定の理解を示すも、すべての下請けとの契約内容を把握しなければならない取扱事業者にとって、さらに厳しい状況になるという認識が広まっている。



     書面化は従来から、荷主、取扱事業者による委託書の発出、実運送事業者から受託書の送付などが行われているが、書面化を徹底している事業者は全体の4割に満たない。曖昧な口頭連絡から、乗務内容や責任の所在を明確にするために書面化を推進する。今回は、省令の施行をもってただちに処分基準を策定するのではなく、ガイドラインを用いて書面化をルール化する。

     書面化のポイントは、安全運行に向けて荷主、取扱事業者と実運送事業者が共有すべき必要最低限の事項を明らかにすること、記載すべき基本事項とともに標準的なフォーマットも提示し、円滑で迅速な書面化を行えるようにすることの二つ。「重要事項確認書面(仮称)」は省令によりルール化、約款でも明記され、安全運行、適正取引の観点から書面化するべき必要最低限の事項が提示される。拘束時間違反や荷待ち時間改善のため、運送内容や料金を記載、付帯業務内容や料金も提示する。

     荷主、取扱事業者から運送状を受け取ったあと、運送行為の実施前に、実運送事業者は「重要事項確認書面」を発出する。書面はファクス、メールでも可能。必要記載事項中、積み込み開始、取り下ろし終了日時、場所や車種、台数、付帯業務を同一条件とする場合は、個々の運送ごとの書面化は不要。書面の一部変更については補完書面を提出すればよいとする。

     運賃・料金について、反復継続しての契約関係にある場合、実額の表記に代えて、算定方法を示す書面を添付する簡便な方法も可能。荷主が書面と異なる契約を強要した場合には、貨物自動車運送事業法第64条に基づき、荷主勧告、社名公表が行われる場合がある。

     東京都江戸川区の大手路線業者の下請け(15台)は「仕事をもらう立場でいえば、書面化はありがたい。現状では、仕事をした後で荷主から請求がきて困っている。そういった問題が解決するなら賛成。しかし、仲間同士など信用でやりとりしているところに導入することは、面倒ばかり増えて逆に業務効率化を阻害するのではないか」と話す。同港区の物流代行業者(45台)は「スポット輸送や期間限定の単発の仕事で、実際に書面化できるかどうか。国が待ち時間や拘束時間などで指針を示してくれれば、事業者はもっと動きやすくなる」と、概ね書面化に賛成する声が多い。

     一方、取扱事業者の間では、「規制緩和で増加した業者数が自然淘汰されるのではないか」という指摘もあり、千葉県野田市の事業者は「これまで下請けの末端まで契約状況を把握してこなかった。どこかで問題が起きたとしても責任は問われなかったが、すべての事業者に書面を送るよう義務付けられれば、今より厳しい状況になる」と話す。(半田桃子)

     
     
     
     
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