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貧困から救う「こども宅食」 官民の力合わせてカバー
2017年9月1日
全国で子供の貧困が問題となっている。厚労省の「平成27年国民生活基礎調査」によると、国内で生活している子供のうち、13・9%が貧困に陥っているという。なかでも「ひとり親所帯」の貧困率は50・8%となっており、同所帯の半数以上の子供が貧困に苦しんでいる状況となっている。今回、東京都文京区からスタートした「こども宅食」。経済的に困窮する区内の子育て所帯に企業・フードバンクなどから提供を受けていた食品などを宅配するという。全国への展開をめざしている「こども宅食」について、関係者に話を聞いた。
「こども宅食」を主催するのは、認定NPO法人フローレンス(東京都千代田区)、NPO法人キッズドア(同中央区)、一般社団法人RCF(同港区)、一般財団法人村上財団(同渋谷区)、認定NPO法人日本ファンドレイジング協会(同港区)と文京区。食品配送について協働するのがセイノーホールディングス(岐阜県大垣市)だ。自治体、NPO、企業が協働して食品ロスになる前の食品を活用し、資金調達には「ふるさと納税」を利用、貧困所帯に食料品などを宅配するという。フローレンスでは「お米や食料品を届けるという、こども宅食ですが、それだけではなく、ソーシャルワークを行っていくのが本当の目的」という。「品物を届ける際、相手に『最近どうですか』と声をかけて情報を集めます。行政だけ・民間だけでは目の届かなかったところを、官民の力を合わせてカバーしていくのが特徴です」という。
「配送については、ココネットを展開するセイノーホールディングスさんにお願いしています」とのことで、ココネットでは「見守り型買い物代行サービス」などを展開するなどの実績がある。「初年度は150世帯を考えていましたが、350世帯を超える申し込みがありました。それだけこの事業が必要に迫られているということでもあります」と話す。
こども宅食で現在、悩みのタネとなっているのが「食品をストックしておく倉庫が手狭になってきていること」だ。「文京区さんからも倉庫を提供していただいているのですが、申し込みが予想を超えていることもあり、このままいくと倉庫が足りなくなりそうです」という。2015年現在で、7人に1人が貧困で苦しんでいるとされている。しかし、フローレンスでは「日本の子供の貧困は見えづらいのが特徴」だという。「町を歩いている子供を見ても気がつきません。親の『貧しい姿を見られたくない』という気持ちが、子供の貧困を隠すことにつながるのです。以前、貧困で苦しむ子供のために子供向けの無料食堂『こども食堂』を運営したことがあります。2年前、中央区で実施した際、40〜50世帯が利用しましたが、明らかに支援が必要だと思われる所帯は1世帯だけでした」
それだけに「情報」を収集することが大切になる。食品を輸送する宅配事業者が家庭の玄関を確認して、会話の中から異変がないかを確かめることが重要と説明する。フローレンスは「従来のやり方だと、平日の昼間に仕事を休んで、知人と会うかもしれない中で、窓口で申請するとなるとハードルが高く、SOSをキャッチしにくかった。しかし、今回のサービスはペーパーレスの申し込みが可能で、宅配便で食品をダイレクトに届けることができる。ハードルをかなり下げることができた」と話す。「文京区からスタートしましたが、これを一つの成功事例として、全国に広げていきたい」としている。
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