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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(284)人材育成について(5)事例(3)
2020年3月23日
結果はどうなったか。B君は変わった。いらざる経費は使わなくなった。接待費は急減し、営業成績も以前と比して、わずか2年で3倍の売り上げとなった。B社の社長いわく。「変われば変わるもんだ。人間というのは環境の生きものですね」
そこで、B社の社長は当時、事故件数年間100件の多発を食い止める手段として、環境づくりに着手した。駐車場や荷物の積み込み場所の美化に取り組んだ。掃除を熱心に行う。ドライバー全員と協力して行う。周囲に緑ということで植物を育てる。休息室を設置して、いつでもコーヒーを飲めるようにし、月1回、休息室で職場ミーティングを実施した。
ドライバーをグループ単位に班編成し、グループミーティングとして行った。前年の事故費の50%以内におさまれば、前年の50%までの金額を上限として一人ひとりに還元するとした。結果は大成功だった。事故件数は80%減となり、事故費は70%減となった。環境づくりの成果である。
次にB社の社長は、組織図の作成、すなわち、幹部の役割、権限、責仕を明確化し、評価の仕組みと成果配分ルールを確立した。成果配分の基本は、目標経常利益の10%を配分原資とする。こうした組織づくりの努力が、今日の優良企業B社をつくっている。
こうした職場環境を抜きにしては、内容のある人材育成はできない。正に働く姿勢と環境づくりが、人材育成の根本である。見方をかえれば、一人ひとりの自発性の引き出しが、人材育成のポイントといえよう。
カウンセリングのねらいと同一である。カウンセリングは、ひたすら聞くことで相手のカガミとなって、本人自らが気付き、本人自らの問題解決能力を発揮すべく導く。
人材育成は、自ら伸びんとするエネルギーは一人ひとりの内発性にあり、と悟ることだ。従って、教え導く人の役割はコーチ役として、働く姿勢と環境づくりにある。それは一歩、二歩、三歩と踏みしめていく、粘り強い行動力によって可能だ。
一人ひとり持ち味がある。この味を、いい方向へ発揮させねばならない。みんな人材だ。この認識を基本に据えて、人材育成に取り組むプロセスが経営の活性化へとつながっていく。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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