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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(361)リーダーシップについて(3)―2
2021年12月20日
私は個人インタビューが一通り終わって作業長と面談した。
作業長「給与についての答えは言っています。どうして答えがないといっているのだろうか。今年の春から、親会社と同率の昇給率でいくと言っているのです。コミュニケーションは嫌になるぐらい彼らのいうことを聞いています。B君とは7回も話し合いしましたよ」
このA社の事例は、コミュニケーションの大切さについてどのような教訓を示唆しているか。それはリーダーのコミュニケーションの力は、単に話を聞くだけでは何の役にも立たない。働いている一人ひとりに愛情を持ち、信念とビジョンをもってコミュニケーションしていく大切さである。
A社の置かれている状況は、親会社との労働条件の格差が宿命としてあり、その宿命を受け入れることで存立している。お代官様と百姓の関係みたいなもので、生存権は親会社に握られている。しかも主要幹部は全て親会社の出身者で固めている。
給与の低さということで不満が湧き出ているが、この状況はいってみれば今に始まったことではない。いまさら、なぜ口々に言い始め、辞めるとかいっているのか。
それは、新任の作業長の赴任から生じている。前の作業長は親会社の出身者であったが、仕事の内容についてよく知っていた。
いわば、お代官様の交代から生じた組織のタガの緩みが、給与の低さというテーマになっている。新任の作業長は、ポッと赴任したのであるから、訳もわからず、この事態に直面させられているわけだ。生存権は、親会社に完全に把握されている職場で、どうすれば活性化するか。働いている一人ひとりの辛さや、喜びに想いをはせて、愛情をもつことが大事である。 (つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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