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物流ニュース
山善 物流効率化を追求、ロジス名古屋を3PL化
2016年6月23日
1947年に機械工具商として始まり、現在は「生産財(モノづくりのために使われる工作機械や工場内で使われる周辺機器・工具類)」「住設建材(住宅設備機器や建材)」「家庭機器(家具・家電などのアメニティ&生活用品)」の三つの事業分野をコアとする専門商社の山善(大阪市西区)。同社は2016年3月期を最終年度とする中期経営計画「Amazing Act 2015(A.A.15)」を遂行し、その中の取り組みで「物流イノベーション」を掲げた。今回は、主に生産財(機工事業部)における物流効率化への取り組みについて、経営企画本部eビジネス推進室の池田孝室長に聞いた。
大阪、名古屋、東京、九州にメーンとなる物流拠点を構える同社は昨年、そのうちの一つであるロジス名古屋(愛知県小牧市)を移転し、3PL業者に外部委託した。
グループ会社のヤマゼンロジスティクスと共に、事業の戦略的観点から物流業務の「付加価値化」を目指し、ロジス名古屋の移転プロジェクトに取り組んできた同社。ロジス名古屋は従来、機工事業部と住建事業部の自社運営物流拠点として事業を展開していたが、取り扱い商材によって最適な立地や配送・保管方法などが異なるため、より効率的な運営方法を模索していた。
そこで、これらの業務をセンコー、三菱電機ロジスティクス、日立物流をパートナーとして委託し、3PL化することとした。昨年6月に名古屋デポ(センコー名古屋PDセンター)を、同7月にロジス稲沢(三菱電機ロジスティクス中部ロジスティクスセンター)を、同8月にロジス名古屋(日立物流熱田物流センター)を、それぞれ稼働させた。
池田氏はロジス名古屋の移転について、「2011年の組織再編で機工事業部が出来たのを機に、もう一度、物流倉庫はどうあるべきか、ゼロベースで考え直してみようとなったのがきっかけ」と説明。機工事業部の扱う商品はそれほど大きな商品ではなく、一方、住建はシステムキッチンなど大きな商品であることに加えて季節波動が大きい。また、機工事業部の商品は1日に2回納品するが、住建は指定日に届けるなど、「保管や配送について、お客様のニーズが異なるものを同じ倉庫で管理していた。一方はピッキングカートで、もう一方はフォークリフトで扱うなど非効率な状態だった」という。
移転によりロジス名古屋に機工の小型商品を、ロジス稲沢に機工の大型商品をそれぞれ集約。「機工の小物だけ扱うので、1300坪あったロジス名古屋は移転後は750坪で対応できるようになった」とし、また、コンパクト化により小牧から、得意先が集中している名古屋市瑞穂区に移すことができた。
配送は、これまで2トンを中心にチャーターで行っていた。「どんな商品が出るのか分からないので大きめの車両を使用していた」が、倉庫を小物中心と、大きい荷物中心に分けることで、小物は軽車両で運べるようになり、効率化が図れた。機工の大型商品は三菱電機ロジスティクスに委託しているが、「共同配送をお願いしており、名古屋の得意先の約半分を共配で回ってもらっている」ことで、運賃コストが改善されたという。
「3PL業者は物流KPIやシステムを持たれているので、そこから出てくるデータから時間別の受注の見直しなど改善提案をしていただける。その点を高く評価している」と、これまでとの違いを指摘する。上がってきたデータを生かし、どのように改善していけるのか、「(ロジス名古屋の)稼働後、3か月間のデータを基に、現在、配送の見直しに取り組んでおり、さらなる効率化を追求している」。
またヤマゼンロジスティクスについて、「本来、荷役作業をするための会社ではない」とし、「山善本体に物流部門がないので、今後はグループの物流戦略の立案、かつ3PL業者を管理するという立場に変わってもらいたい」と期待する。
名古屋の物流再編(3PL化)は昨年に完了したが、「名古屋の経験を生かし、東京や大阪などその他の拠点も随時、再編を進めていく予定」と語る。
なお、家庭機器事業部においては今年2月、関東地区での物流対応力強化のため、佐川グローバルロジスティクスと業務委託契約を締結。「ロジス関東」を群馬県伊勢崎市に拡張移転した。
◎関連リンク→ 株式会社山善この記事へのコメント
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