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物流ニュース
社整審 道路分科会国土幹線道路部会 近畿の道路施策検討を要望する声
2016年5月27日
国交省が4月7日に開催した社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会(寺島実郎座長、日本総合研究所理事長)で、近畿圏の道路ネットワークと高速道路料金の再編について議論された。大ト協の坂本克己会長は「トラック運送業の社会貢献に対するコストが高い」と指摘したうえで、「適正な道路の使用について知恵を出し合いながら、合理性のある料金システムとしてほしい」と述べ、トラックの負担が大きくなりすぎないよう、上限料金の設定や割引制度などの施策の検討を要望した。
長時間労働の削減、生産性向上に資する一つの方策として、高速道路の利用率の上昇が挙げられる。昨年、同省と厚労省が実施した「トラック輸送状況の実態調査」(平成27年9月)によると、走行距離601km以上では、高速利用割合が80%では拘束時間は約17時間、20%では約24時間だった。改善基準告示に定められた「1日原則13時間以内、最大16時間以内」には及ばないものの、高速道路の利用割合が高い運行の方が、ドライバーの拘束時間は短くなっていることがわかる。しかし、日本の高速道路の利用率は16%に止まり、十分な効果が発揮されていないのが実情だ。これを欧米並みの30%程度に引き上げると、交通事故の死傷者、消費燃料、渋滞などが減少するとされている。
全ト協からは、ETC2.0から得られる通行経路情報を活用し、例えば大阪―福岡間を輸送する場合、通行量の少ない中国自動車道の通行料金を割り引くなどして、国道2号および9号または山陽自動車道を利用しているトラックを中国自動車道の利用に転換させる施策の検討を要望した。
また、近畿圏は管理主体が異なる道路が混在し料金体系が異なるため、首都圏の新料金制度のようにシンプルでシームレスな体系を求めている。その上で、トラック輸送は平均利用距離が長く、現在の阪神高速の上限料金となる24km超を利用する割合が高いため、仮に上限料金が上がると事業者への負担が大きいとして現在の上限料金の維持を求めた。
太田和博委員(専修大学商学部教授)は、料金の値下げに賛成の意を示しながらも、「料金を下げるとトラックの負担分を乗用車が過度に負担することになる」と指摘。「2012年の料金改定時には猶予財源があったが、今回は何を財源とするのか。軽油引取税は地方税なので、例えば軽油税(国税)の新設ということも考えられるのか」と対案の提示を求めた。
◎関連リンク→ 国土交通省この記事へのコメント
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