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物流ニュース
全ト協 経営分析を発表「10台以下の営業赤字62%」
2016年4月9日
全ト協(星野良三会長)は4月8日、「全ト協の経営分析・平成26年度決算版」(対象期間=平成25年10月から平成27年8月)を発表。有効回答2192社分をまとめたもの。全ト協はホームページへの掲載と発表会を開き、福本秀爾理事長が説明した。
トラック運送事業では、燃料価格の下落にも関わらず、営業赤字の企業が過半数以上を占める状況が続いており、平成26年度は54%(1173社)となった。特に、車両10台以下(693社)の場合、約62%(428社)が営業赤字を計上。トラック運送事業の売上高にあたる営業収益(貨物運送事業収入)は1社平均で約2億79万円、前年度は2億234万円で、0.8%減と若干減少している。燃料下落効果で営業利益率は前年度比1.4ポイント改善したものの、0.9%減と8年連続の赤字となった。
27年8月までの輸送量は微減で推移。消費増税前の駆け込み需要で増大した後、反動で下落に転じ、27年には上昇に転じたとしながらも、「昨今の景況感調査によると大変な悲観的状況にあり、将来的に悪くなるだろうと言う見方が強い」と解説している。また、営業利益率では「燃料価格の下落でコストが削減でき、営業利益率の改善はあったものの、必要なドライバー数を円滑に確保できないことから、賃金水準の引き上げや時間外給与の増加による人件費の上昇、傭車利用の拡大など、営業利益の改善は限定的となっている」とした。
しかし、「経常利益率は燃料価格下落効果ですべての事業規模で経常赤字が縮減。1社平均の経常損失は42万8000円で、前年度の235万7000円から1社平均で約193万円改善。黒字事業者の割合は営業利益段階で46%と前年から9ポイント改善。経常利益段階でも53%が黒字で、前年比6ポイント増となった」とした。
また、「燃料価格はスタンド、ローリー、カードの各価格でマイナス4.5―6.2%下落。調査段階の27年8月は82円台で推移していたが、最近は70円台を割っているので引き続き、この状況は続く」とした。
生産性の向上に向けた考察として「従業員一人当たりの営業収益×付加価値率で算出した労働生産性をみると、車両台数が小さい事業者ほど労働生産性は低くなる傾向にある」と述べ、生産性向上に向けた諸方策の検討では、無駄な手待ち時間の削減や付帯作業の有償化など荷主との協力体制の一層の推進、運賃水準引き上げと適正運賃収受のための行政・関連団体の支援体制の必要性、高速道路料金の大口・多頻度割引率最大50%の恒久化を課題とし、具体的には若年層獲得のためのインターンシップ制度の実施やETC2.0対応機器50万台分の装着助成などを挙げた。
◎関連リンク→ 公益社団法人全日本トラック協会この記事へのコメント
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