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物流ニュース
小野包装 小野一佳社長 「商品に物流以外の付加価値を」
2016年7月7日
商品に物流以外の付加価値を――。小野包装(小野一佳社長、東京都足立区)は東京・埼玉・茨城の都県を拠点に、物品保管や入出庫のほか、アソート、セット組み、梱包などの流通加工やセールスプロモーション用の資材管理を強みに、総合物流サービスを展開する。2005年からユーザーID、パスワードなどですべての商品情報をユーザー自身が確認可能な環境を提供している。
転機は25年前。倉庫事業を立ち上げようと一念発起した先代に、「やるなら、それなりの在庫管理システムがないとだめだ」と助言する者がいた。ITが急速に発展し、低価格のパソコンが世に出回り始めた頃のことだ。パソコンは1人1台が当たり前、自由にソフトウェアを開発できる環境が整い始めていた。そんな折に、システムエンジニアの経験を持つ小野社長の手腕に白羽の矢が立った。
顧客の要望はその都度ある。システムを変更しながら、従来の「オフコン」のシステムを活用することもできたが、締めの作業をしないとデータが反映されないという手間がネックとなった。「システム変更の度にコストがかかればお客様も面倒に思うだろう。それなら自分たちで、いつでも手を加えられる方がいい」。より高速に情報を処理できるパソコンで、仲間とともに同社の倉庫事業の原点とも言える在庫管理システムをつくった。
かつての主力取扱商品はカレンダーで、全体の7割を誇っていた。アメリカやスペイン、フランスなど、国ごとに出荷する。その後、取り扱いを始めた洋書は、1種類の書籍に対し在庫1冊という小ロットが多く、少量多品種を得意とするようになる。自信をつけると、本格的に雑誌やパンフレットなどの出版関係に進出。現在は、医薬品会社や多品種を扱う商社など、印刷に直接関係しない案件も数多く手掛ける。
例えば、病院などで使用する手や指の消毒液。一見、どこにでも取り付けられそうなものだが、容器のサイズやポンプノズルの大きさ、長さ、どの形状のホルダーで、どの金具を組み合わせると設置できるのか、新型と旧型では対応できる付属品が違う──など、様々な場合を想定しなければならない。「営業マンが病院を訪問して、その病院に合ったものをすぐに判断できるようにフローを作成する」。こうしたきめ細かいサービスと提案ができるのは、これまで培ってきた少量多品種の取扱実績と経験に裏付けされている。
ピッキングや梱包には作業ごとの手順書を作り、フロー図と写真で示すことで、初めて従事する社員にも分かりやすく、かつミスを出さないための工夫をしている。「論理的に組み立てられなければ、仕事にならない。その点、作業手順とシステムのプログラミングの作成は似ている気がする」と小野社長は言う。
幾重にも及ぶチェック工程を経て、仕事は完結する。「荷主の関心はコストにある。安い方がいいに決まっているが、『品質維持のためには必要なコスト』と思ってもらえるように説明を尽くす必要がある」。資材やサービスの調達が役割の荷主の購買部に対しても、丁寧な説明を怠らない。
今後は出版関係の仕事を三郷センターに集約し、2016年5月に竣工予定の守谷第2流通センター(仮称)の1階・1280坪と2階・2398坪で、複雑で高いレベルの物流品質を求められる案件に向き合い、事業を伸ばしていく考えだ。
◎関連リンク→ 株式会社小野包装この記事へのコメント
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