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物流ニュース
大黒倉庫 安田靖社長 「大黒カラー」を育てたい
2016年8月2日
昭和22年に横浜市鶴見区で営業を開始した大黒倉庫。大黒ふ頭が形成される以前から、京浜工業地帯の重量鉄鋼産業を支えてきた。横浜市内のほか、相模原、静岡、名古屋に各営業所を構える。時代の変化に対応しながら、食品保管分野など鉄鋼以外の分野でも事業を拡大している。
同社は大黒ふ頭では最も歴史がある倉庫会社のひとつ。現在も基幹事業である重量鉄鋼製品を取り扱う倉庫会社として設立された。顧客の要望に応えるかたちで静岡県や愛知県にも営業所を開設し、事業を拡大。鉄鋼以外の製品を扱い始めたのは昭和58年。5層からなる大黒埠頭倉庫の竣工に始まる。同倉庫は定温定湿で、MA米の保管のほか、一般食料品も取り扱う。
現在、代表を務めている安田靖社長は大学卒業後、アメリカへ留学。帰国後に商社で勤務した後、30歳になる前に同社へ入社した。「大黒倉庫を継ぐというイメージはずっと持っていた」という。創業者である祖父に連れられて、子どもの頃から倉庫に出入りしており、倉庫という職場を身近に感じて育った。
「一番嫌いな言葉は送料無料」と話し、運賃の下落が人材確保をより困難にしていると警鐘を鳴らす。「賃金の下落によって、一度人が寄り付かなくなった業界に人材を呼び戻すことは難しい。本当に人が足りなくなった時になって、賃金を上げたところで人はやってこない」と指摘する。
特に同社のメーンである重量鉄鋼製品は安全に関する基準が厳しく、ひとつ間違えれば重大災害や死亡事故になる危険があるため、現場作業には高度な技術と豊富な経験が不可欠。人材育成には長い時間がかかる。また、港湾労働法上、アルバイトが使えないということもネックになる。
同社では、事務・総合職として大学新卒者を、現場オペレーターとして高校新卒者を積極的に採用している。そこには「大黒カラーの人間を育てたい」という安田社長の考えがある。離職率を下げる取り組みとして、新卒新入社員の「父母見学会」を実施。毎年本採用が決まった6月以降に新入社員の両親を招待し、会社の概要説明や職場見学、社長との食事会を催す。「家族にも会社のことを知ってもらうことで、少しでも離職率を下げていきたい」。また、将来的には社員の子どもを会社に招いて、親の働く姿を見てもらう見学会の実施も検討している。
同社のビジネスは寄託貨物の集荷を営業の根幹に置いている。顧客の物流網の一翼を担うことになるため、「安いからという理由で、仕事が簡単に他社へ移らないことが強み」だ。安田社長は「今後はハードよりもソフトの充実が一層重要になる」と語る。鉄鋼を基幹事業としつつ、次の事業展開を見据え、「TPPはひとつのきっかけとなる」とし、「次のターゲットがどこなのか、それが次世代へのバトンになる」と話す。
◎関連リンク→ 大黒倉庫株式会社この記事へのコメント
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