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物流ニュース
電子商取引サービス「いなせり」 飲食店へ新鮮な食材を
2016年8月10日
日本エンタープライズグループのいなせり(萩原義勝社長、東京都渋谷区)は、東京魚市場卸協同組合と業務提携し、組合初の公式電子商取引サービス「いなせり」の共同運営を、豊洲移転後の今年11月から開始する。
同サービスは、同組合に所属する約600社の仲卸業者と飲食店向けに提供されるもので、鮮魚・水産物の直接取引を支援する。仲卸業者は商品情報を「いなせり」のシステムに登録、飲食店は登録された情報をもとに、午前2時までサイト上で食材の仕入れが可能になる。
いなせりプロダクトマネージャーの寺尾悠氏(写真左)は、「従来の築地市場の流通モデルをECに置き換えるというのではなく、これまで仲卸業者と取引がなかった飲食店に活用してもらいやすくすることで、開かれた市場を実現させる」と説明する。
飲食店が注文した食材は豊洲場内に設けられた「買い回りステーション」に集められ、現場を請け負う日通が荷受けと仕分け作業を行う。そこから各店舗へは、そのエリアを得意とする運送事業者が即日配送する。
ディレクターを務める吉永大祐氏(同右)は、「市場内のオペレーションに関しては、水産物も含めた食材の取り扱い経験に長けた日通にハブになってもらい、効率的な運用をめざすとともに、将来的なグローバル展開にも対応してもらう予定」と説明。
一方、「個々の飲食店への配送では、各配送地域に強みを持つ物流会社に当面は任せるが、今後、物量や配送件数の増加が予想されることから、より多くの食材輸送に強みを持つ物流事業者との取引を広げていきたい」とも話す。
決済システムは、ソニーペイメントサービス(東京都港区)の「eーSCOTT Smart」を採用。三井住友カードはクレジット決済、オリエントコーポレーション(オリコ)は「銀行口座引き落としによる売掛金保証サービス」を提供する。同氏は、「これまで現金決済が主流だった築地の慣習に、より利便性の高いサービスを付加することで、新たな取引が生まれることを期待している」と説明する。
寺尾氏は、「まずは関東エリアでスタートし、全国の港がない内陸部の飲食店へ新鮮な食材を届けていきたい」とし、「海外展開も視野に入れ、築地の魅力を広く発信していければ」と語る。
豊洲市場全体イメージパース図(提供:東京都中央卸売市場)
社名とサービス名の「いなせり」には、「若々しく威勢の良いさま」を意味する「鯔背(いなせ)」と、「サービス(せり)が勢いづくように」との願いが込められているという。
◎関連リンク→ いなせりこの記事へのコメント
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