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物流ニュース
年末から年始の盗難に注意 防犯対策を進める
2016年12月13日
年末にかけて、運送事業者の防犯意識は高まる。昨今ではトラック本体から、タイヤ、バッテリーなども狙われており、全国各地で盗難被害が相次いでいる。1000本以上のタイヤが一晩で盗まれたり、100台以上のトラックからバッテリーが盗まれて翌朝、トラックを動かせないという事例が発生している。この季節、運送事業者は防犯対策を進めなければならなくなっている。今回は、各関係団体に「防犯対策」について話を聞いた。
「安心・安全にはコストがかかる。ただではない」と話すのは、大阪府防犯設備士協会(大阪市中央区)の大室美智子次長。「抑止効果になるのは防犯カメラだろう。最低限、死角をなくすように設置していただきたい。より鮮明に録画できるものがいいので、ダミーはお勧めできない」という。
「泥棒は見られることを嫌うので、照明は明るい方がいい。巡回するのも一つの方法。協会では、現場に一緒に行ってアドバイスなどもしている」という。バッテリーの盗難対策として、「特殊なボルトとナットを使用するのもいいかもしれない」と話す。
また、同協会の会員で高度な防犯性を備えたネジキット「iGuard」を販売しているユニファス(同市阿倍野区)。奥村良樹社長と加藤剛営業課長は「最初はナンバープレートの防犯対策として開発したが、現在ではバッテリーの防犯用にも使っていただいている」という。「スパナやペンチでは、開けることも締めることもできない。バッテリーは高価なので、盗難の被害に遭う前に対策を考えていただきたい」と同社長。特殊な工具を使用すれば、誰でも簡単に取り付けることができる。
「取り付け個数を複数にして、一般的なナットをiGuardナットに取り換えることで、盗難防止・いたずら防止の効果がより高まる」という。バッテリーだけでなく、事務所のエアコン室外機などにも利用されている。一般用ボルト・ナットキットM6(デルタ)の価格は3200円(税別)。
また、バッテリーだけでなく、11月には滋賀県でスタッドレスタイヤ1000本以上が運送事業者の倉庫から盗まれた。同地域では、100本以上のタイヤが盗まれる被害が相次いでいる。
日本自動車タイヤ協会の関係者は「以前は国内で盗んだタイヤを海外に売るという話があったが、最近は新品でも安い中国製のタイヤが出てきており、そういった話は聞かなくなった」という。「国内で盗まれたタイヤが国内で出回っても、固有番号がないので、多分わからないだろう」と指摘。別の関係者は「転売するにしても、タイヤよりもっと高価なものを狙うこともできる。なぜタイヤなのか」とも指摘する。
物流業界の盗難被害について、日本損害保険協会では「具体的に盗難に遭っている物の個別の統計などを把握していない」とした上で、「自動車盗難等防止に関する官民合同プロジェクトチームが立ち上がっており、その専用サイトでも、いくつか呼び掛けている」とコメントしている。
防犯グッズを販売する関係者は「何も被害に遭っていない状況で、防犯を意識するのは本当に難しい」と指摘。「被害に遭って初めて、対策が必要だったことに気がつく。多くの方は『ウチは大丈夫だろう』と安易に考えている人が多い」としており、防犯意識の大切さを訴えている。
年末から年始にかけて、盗難の被害が増加する。他人事として考えるのではなく、自社の体制を振り返るのが大事。駐車場やトラックの防犯対策は万全だろうか。もう一度、ドライバーに注意喚起してみてはいかがだろうか。この記事へのコメント
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