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物流ニュース
伊佐ホームズ 木材物流の徹底効率化、森林パートナーズ設立
2017年10月25日
木材の生産から住宅建材の加工、販売まで一貫した流通をコーディネートする森林パートナーズ(東京目黒区)を設立した伊佐ホームズ(同世田谷区)の伊佐裕社長(写真左)。「家を造る際、必要な木材を伐採、加工するので、まったくムダの出ない新しい流通が実現した」という伊佐社長と同社設計部の小柳雄平氏に、いままでなかった新しい木材流通について話を聞いた。
「従来は山林から伐採した原木を市場が買い取り、保管・輸送して加工、現場まで輸送されていたため、流通コストがかかり原木の買い取り価格が低迷していました。森林パートナーズの考え方は逆。工務店が必要なだけ山林から木材を伐採して加工するため、一切ムダな木材が出ない」という。同システムにすると木材市場や問屋を通さないため、流通コストを約50%削減することができる。
「林業や加工工場と工務店で情報を共有してムダを省いていく」という。伊佐社長は元商社マンという経歴を持つだけに「林業、加工工場、工務店がバラバラで動いていた業界に新しい仕組みができないかと思ったのが10年前。すべての壁をなくしてフラットにしたい」と考えたという。徹底した効率化を考えるうちに「新しいシステムに行き着いた。これは、いろいろの方とのご縁があったからこそ。いまは林業の国家的な問題に取り組むことが私の使命だと思うようになっています」という。
森林パートナーズの目的は大きく2つ。「国民的課題である森林の維持・再生と地域材の活用推進」と「地域工務店と林業・木材加工業の連携による6次産業化を実現するため森林再生プラットフォームを提供する新木材流通コーディネートを行う」こと。「全員で大きな利益を作って分配することが大切だと考えています」という。
伐採された木材は最適な木材だけ出荷される。出荷の際も1本ずつバーコード管理され、「どの山の木材が、どの家の、どの柱になっているのか確認できる」というトレーサビリティーで管理されている。また、建材に利用できない木材については、バイオマス発電の燃料にするなど「木材資源をムダなく商品にするシステム」となっている。
伊佐社長は「いままで一番買い叩かれていたのが林業。今回のシステムによって適正な木材価格で取引されるようにできました。これは既存の流通ではできなかったこと。今後は木材のブランド化を進めていきたい」という。現在は関東を中心に進められている新システムだが、「周辺地域からの問い合わせも多くなっている。今後は全国に進めていきたい」という。
ムダのない木材流通を完成させた同社だが、「輸送については運送事業者にお任せしている。運送事業者といい関係を構築するために、どのようなことができるかを考えるのは今後の課題」という伊佐社長。「逆に運送事業者の方から提案していただくのも面白い」と話す。
「どうでもいいものをたくさん造るよりも、いいものを一つ造りたい」。新しい木材流通が全国に広がるのも時間の問題だろう。
◎関連リンク→ 伊佐ホームズ株式会社この記事へのコメント
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