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自分の目で被災地確認 北海道の運送経営者
2011年4月8日
東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故の影響で、東北地方の物流業務に大きな支障が出ている。交通インフラの回復が進むにつれ、被災地への支援物資が届くようになり、幸いにも震災被害が軽微だった運送事業者にとって、日常業務への復帰が大きな関心となってきた。そこで問題となるのが、原発に近い地域への運行業務をどうするかだ。
北海道の運送事業者は震災後、本州の元請け事業者からドライバーへのアンケートを受けた。「依頼があった場合、原発事故が起きた福島県への輸送に行きますか」という内容だった。この仕事に携わる同社のドライバーは10人全員が「行く」と回答した。同社の社長は「他社のドライバーを含めたアンケートの結果を聞いたが、『行く』との回答が全体の2割程度しかいなかったようだ」と話し、「本当にありがたいことに、うちのドライバーは行くと言ってくれた。下請けの立場だからというのではなく、トラック運送のプロとして、自分らが今出来ることをしっかり考えて前向きな気持ちで答えてくれたと考えている」と語る。
ただ、ドライバーの身体に対する放射線の影響は、経営者として当然心配の種だ。政府の指示により、同県内の多くの住民が避難や屋内退避を余儀なくされており、今後の見通しもはっきりしない。風評被害の拡大が懸念される中、「直ちに健康に影響はない」と発表されたものの、これを素直に信じていいものか素人では判断が難しい。
現地の状況もわからないようでは、ドライバーに「行ってくれ」とも「行くな」とも言えないと考える同社長。「現状で判断する材料がないことに加え、同県内に住む人にも失礼」と感じていることから、自ら福島県に出張し、視察する予定だという。
「原発に近い一部の自治体まで行くことができるという情報を聞いたので、自分の目で被災地の状況を確認しに行く。その結果を踏まえ、今後のドライバーへの指示を考える」と話している。(玉島雅基)
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