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新トラック運送経営のヒント(51)過労運転は事故でなく事件
2013年1月25日
高速道路で大型トラックが軽自動車に追突し、その衝撃で軽自動車に乗っていた幼児が車外に放り出され死亡した事故が、今年4月に名古屋市で発生しました。
先日、死亡事故を起こしたドライバーが「過労運転」の疑いで、ドライバーが勤務していた運送会社と営業部長、運行管理者が「過労運転の容認」の疑いで書類送検されました。この連載をお読みの皆さんなら、すでにお分かりでしょう。刑事罰だけで一件落着しない、ということを。刑事罰と同じくらい、いや、もっと重い「行政処分」の問題が残されています。
報道によると、営業部長や運行管理者は「過労状態だったことは承知していた」と認めており、ドライバーも「連日の深夜勤務で前をよく見ていなかった」と証言しています。ドライバーが過労運転をした場合、運送会社が「過労運転を容認」していた旨の通知を公安委員会が国交省にすると、「7日間の営業停止」になります。今回の事故は、まさにこのケースに当てはまる可能性が極めて高いです。
しかも、この行政処分だけで終わるとは限りません。警察の発表によりますと、事故を起こしたドライバーは事故を起こすまでの6日間、東京と京都を繰り返し往復し、連続運転時間の中断(4時間ごとに必要な30分間の休憩等)をせずに運転していた、とのことです。1日の拘束時間も16時間以上だったようです。発表では6日間の運行内容しか分かりません。もし、国交省の監査で1か月間を調査され、事故を起こしたドライバーの乗務時間等告示の違反回数の合計が31件以上であれば、さらに「3日間の営業停止」が追加され、合計10日間の営業停止になります。
あとは、国交省の監査でどれだけ法令違反が指摘されるかです。多数の違反が指摘され、原則27点以上の違反点数を付与されてしまいますと、さらに「3日間の営業停止」が追加されます。「過労運転による重大事故」がどれだけ会社に強烈なダメージを与えるか。改めて感じることができたのではないでしょうか。
ドライバーの労働時間を減らすことは簡単なことではありません。しかし、いま運送会社に一番求められているのが「過労運転の防止」であることも事実です。
「過労運転の事故は、事故ではなく、事件だ」。これが一般社会の見解です。くどいようですが今一度、自社の労働時間をチェックして、改善しましょう。
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