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荷主の理解得るチャンス!? 労基署の立ち入り調査
2017年10月20日
労基署などによる突然の立ち入り調査は、業界内でも知られているが、実際に立ち入り調査を受けた運送会社の、その後の対応や、指摘された違反に対する改善については、どのようにされているのか、調査を受けて改善を求められた運送会社に話を聞いてみた。
大阪市に本社を構える運送A社は、一部のドライバーで残業時間が100時間に達するとして労基署の監督官に指摘を受け、是正勧告がなされた。その後、同社も専門家を交えて改善について報告書をまとめるなどした。A社社長は「専門家に見てもらったところ、同社では、荷待ち時間が日常的に多いことが指摘され、これに対する対策などが講じられていないため、荷主に対しても、今回の立ち入り調査で明らかになった荷待ち時間の長期化をしっかり説明し、大幅な荷待ち時間削減に協力を求めていく。労基署に対しては、国交省も進めている荷待ち時間の削減を図り、今後は荷主と話し合って荷待ち時間ならびに長時間労働の改善を図ることを報告した。さらに改善した部分を今後、見せることを約束し、今回は是正勧告とすることで、労基署との面談は終了した」と説明する。A社の労務を担当する専門家は「A社の場合は配車係が荷主側に存在し、同社が配車を行っていなことや、自社内でも出来る限りの労働時間短縮などを図っていることから、今後改善した部分を見せることで調査を終えている」と話した。
過去にA社と同じように労基署の立ち入り調査を受けて、長時間労働を指摘された大阪市に本社を構える運送B社では「長距離運行がほとんどで、それに対する残業時間が100時間を超えていることに対して指摘を受け、是正勧告を受けることとなった。これに対して現在は、長距離輸送は部分的に減少するとともに、他社からの輸送協力などを受けて行っている。長距離運行は、最低でも3日運行が基本となるため、月に4回以上はできない状況で、荷主には急がない荷物に関しては他社からの輸送協力(繁忙期を除く期間での輸送)を求めて、荷主企業からも少しずつ理解を得られた輸送計画となってきている」と話す。さらに、B社は「運送事業では、運送会社だけで長時間労働を改善することは非常に難しく、強硬に行うには、現在取引している荷主企業との取引をやめなければ改善できない。やはり運送会社と荷主企業が共に協力し合って、相手の立場を理解した輸送を行わなければ運ぶことができない時代に入っていくと予想される」と語った。
労基署からの立ち入り調査は運送会社にとって、本来ありがたいものではないように思えるが、それがきっかけとなり、荷主企業に労働時間短縮への理解を求められたケースもあるようだ。
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