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  • ブログ・川﨑 依邦

    労働審判・全面勝利体験報告(34)締結した合意書の力

    2011年3月4日

     
     
     

     その後、同日午後4時30分ごろ、川?常務から連絡を受けた川?社長が、申立人に電話をして話し合い、申立人が会社都合の退職とすること、退職日を8月31日として8月分までの給料を支払うことを要望したので、川?社長がそれに応じることとした。



     そして、申立人の要望を反映した合意書を作成することとし翌7月20日、川?常務が申立人に電話で「合意書を結んで確認したいので、事務所かどこかで会えないか」と言ったところ、申立人が「事務所には行きたくないので、郵送で送ってください。合意書は確認して納得したらサインして返信します」と言ったので同日、川?常務が合意書を送付し、その後、申立人が署名、押印した合意書(乙23)を返送してきたものである。

     (4)以上の経緯に照らして、申立人に対する人事異動や、その後の退職の経緯については、何ら不法行為を構成するものでないことは明らかである。

     また、上述のとおり、申立人は労働組合の書記長をしていた経験があり、その際には労働者と会社との間で合意書を作成したこともあって(乙24、25、26)、将来の債権・債務を有しないとすることの意味も十分理解していたものと認められる。

     したがって、合意書においては、何ら錯誤、詐欺といった事情は存在せず、あるいは相手方が会社として圧力を加えたなどの事情もなく、むしろ、申立人の要望を受け入れて合意書を作成したことが明らかであって、公序良俗違反といった事情はない。

     また、平成21年9月分支給の給料において、申立人に対する仮払金の精算をしているが、これは同8月31日までの賃金の支払いであり、合意書3項に基づくものであって、何ら合意書に違反するものではなく、債務不履行にはなり得ない。

     したがって、本件については、合意書の作成によって既に解決済みであり、これに関して、申立人は相手方に対して、何らの債権を有するものではない。(答弁書より)

     労働組合の書記長という経験をすると、人によっては悪い経験となるケースもある。申立人は正に悪いケースである。形式上、法律を盾にとって不当な要求をしている。無理矢理こじつけのストーリーで以て金品を要求している。

     いわゆる法廷の場では感情論は通用しない。証拠に基づいて申立人の主張を一つずつ覆していくことになる。今回のケースでは申立人が退職するにあたって締結した合意書の存在が大きくものをいうこととなる。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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