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ブログ・川﨑 依邦
一人でも入れる労働組合がやってきた(49)胸に刻まれた3つの教訓
2012年6月15日
「一人でも入れる労働組合」の嵐は過ぎ去った。A社長は今回の件で、色々と教訓を掴んだ。
教訓1…逃げずに立ち向かうことである。ノーと言うところははっきり行い、強気でいくことである。A社長は内心動揺し、オロオロしていた。「このままいくと倒産か」と追い詰められたものであった。しかし腹を決めた。「命まで取られることはない。できないことはできないと言おう」。もちろん、「一人でも入れる労働組合」の攻勢、プレッシャーは鋭いものがあった。しかし逃げずに立ち向かうことで分会員が動揺し、一人、二人、三人…といなくなっていった。分会員にしてみれば「金」である。「会社に反省してもらいたい」くらいのところで、決して会社を潰そうなどとは考えていない。労働組合の指導部にしてみても、中小企業を潰そうなどとは思っていない。むしろ、共闘して悪政に立ち向かいたいと思っている。いわゆる新自由主義に反対し、労働者の力を高めていきたい。そのためには中小企業の心ある経営者と共闘していきたいと考えている。しかし、A社長は共闘の道は選ばない。政治をやっているのではなく、生きるか死ぬかの瀬戸際で経営をしている。経営に命を賭けている。労働組合とは大きなギャップがある。A社長の強気が道を切り開いた。
教訓2…中小企業だからといって、安易に経営してはならない。どこからもつつかれない給与規定をしっかりと作らねばならない。しっかりとした給与規定、やる気の持てる給与規定を確立することである。ドライバーは「金」である。しっかりとした給与規定をドライバー一人ひとりに指し示すことである。
教訓3…コミュニケーションを良くしていくことである。ドライバーは「金」、もう一つは誇りや喜びの持てる職場づくりによって精神的報酬を示すことである。「金」だけではないものを指し示す。そのためにはコミュニケーションである。あいさつのしっかりできるドライバー、車を大事に扱うドライバー、制服を正しく着用するドライバー、そして何よりも荷主に好かれるドライバーの育成をする。ドライバーの人材育成をコミュニケーションの力によって日々着実に実践していく。
教訓1、2、3はA社長の胸に刻まれている。「本当に勉強になったよ。反省すべきは反省して、これからカッチリとした経営を行うことを誓うよ」。A社長の言である。試練によって人は成長する。人のみならず、会社も成長する。雨の日も嵐の日もある。しかし明けない夜はない。やまない雨もないのだ。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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