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ブログ・野口 誠一
第71回:危ない経営者第6条・自己中心型の経営者
2004年8月6日
「危ない経営者十か条」の第六条は、「自己中心型の経営者」である。
ひと頃、「ジコチュウ」が流行語になった。自己中心的な人を揶揄、非難した言葉である。経営者に限らず、「ジコチュウ」人間はことのほか嫌われる。人間だけではない。「ジコチュウ」企業・三菱自動車の車は売上が半減したし、「ジコチュウ」国家・アメリカは世界中から嫌われている。自分の利益しか考えない、自分の考えを他に押しつける、それが「ジコチュウ」の特徴だとすれば、嫌われて当然である。
私は内心、三菱自動車の再建はかなり厳しいと見ている。ほぼ全車種に及ぶリコール隠しにヤミ改修、相次ぐ人身事故に文書破棄と、過去の「ジコチュウ」ぶりが次々に発覚してとどまるところを知らない。むろん、三菱グループがメンツにかけて支援するだろうが、それにも限界がある。おそらく、グループ各社の株主が黙っていまい。いまや株主の意思を無視した企業決定はあり得ない。
すでに株式の持ち合い制崩れて久しく、この十年で三分の一に激減した。その株式をせっせと買い集めたのが外資である。結果、日本企業の株主構成比率は激変し、いまや外国人持ち株比率は二十五%である。この二十五%は当然ながら「モノを言う株主」である。モノを言うどころか、TOB(株式公開買い付け)すら仕掛けられかねない。ソトーやユシロ化学工業はその一例である。内部保留をすべて取り崩し、従来の十五倍に当たる一株二百円の高配当を強いられた。この「モノ言う」傾向は国内機関投資家の間にも広がりつつあり、もはや企業のエゴやジコチュウは通用しない。
が、この国にはまだまだジコチュウ的組織が少なくない。組織ぐるみで不祥事を隠す官庁、医療ミスを隠す病院、裏金づくりを隠す警察と、数え切れない。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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