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ブログ・野口 誠一
第78回:倒産する人・しない人15か条 コスト・コントロールができるか否か
2004年8月27日
「倒産する人・しない人15か条」の第1条は、「コスト・コントロールができるか否か」である。経営はコストとの闘いでもあり、売り上げがコストを下回れば確実に倒産するしかない。どんなに耐久資金が潤沢でも、経営としては死に体である。
企業にとって最大のコストは人件費である。にもかかわらず、そのコスト意識が希薄な経営者も少なくない。売り上げが伸びているから、業績が上がっているから、というだけで人員を増やしたり、なかには見栄や体裁で増やすケースもないではない。が、人件費は目先の給与やボーナスだけにとどまらない。年金や各種の保険もあれば、昇給も視野に入れておく必要がある。何よりも、その社員の生活と人生に責任を負わねばならない。
人件費がいかに重いコストであるかは、この数年吹き荒れたリストラが証明している。ITバブルがはじけたとき、電機業界はこぞって万単位のリストラを断行した。リストラにはむろん大量の一時資金が要る。それを銀行から借り、金利を支払っても、人員コストを圧縮するメリットのほうが大きいからである。大企業が代行返上で年金負担を軽減したり、年功給を能力給へ移行したり、リストラ後の人的資源を非正社員に求めるのも、すべては人員にかかわるコストを圧縮するためにほかならない。
沈没寸前の日産を再建したカルロス・ゴーン社長は、「ミスター・コストカッター」と呼ばれた。大量のリストラと工場閉鎖、本社社屋をはじめ売却できる物件はすべて売却し、徹底的にコストをカットしたからである。このゴーン流は、経営はコストとの闘いであることを証明したばかりでなく、コスト・コントロールがいかに重要であるかをわが国の企業に知らしめた。中小企業ももって他山の石とすべきであろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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