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ブログ・野口 誠一
第105回:失敗しないための戒め15か条 不振時の売り上げは好調時の8割でよし
2004年11月14日
「失敗しないための戒め15か条」の第11条は、「不振時の売り上げは好調時の8割でよし」である。
これは表現を換えれば、好調時の8割の売り上げでも十分に利益の出る経営体質を確立すべし、ということにほかならない。常に10割の売り上げがなければ赤字になるような、まったくおつりのないような経営は経営の名に値しない。
景気は循環する。好況もあれば不況もある。私は常々「不況はときどきあったほうがいい」と言っているが、その真意は、経営の名に値しない企業を淘汰できるとともに、経営者が危機感を新たにし、8割の売り上げでもビクともしない経営体制を構築してほしいからである。
車のハンドルには遊びがある。その遊びが安全運転を可能にしてくれる。経営も同様、遊び(余裕)がなければ安定した経営はできない。では、その余裕をいかにして創出するのかといえば、前にも紹介したように、松下幸之助のいう「ダム経営」に徹するしかない。好調時にコツコツとダムに水を貯めるように利益を蓄積し、不振時の水漏れに備えておくことである。その蓄積が8割の売り上げにも耐えられるようになったとき、経営は盤石と言っていい。
プロ野球の世界で3割バッターといえば一流の証明だが、それは必ずしも3打席に1度、確実にヒットが打てることを意味しているわけではない。一流選手にもスランプはある。好調時に「かため打ち」してスランプ時に備え、トータルとして3割を確保すればいい。
経営も同じことである。好況時に「かため打ち」して利益を蓄え、不況時を8割の売り上げでも乗り切れるようにするのが経営者の手腕である。とはいえ、なかなかそうはいかない。不況時にはどうしても「悪あがき」してしまうからである。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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