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ブログ・お勧めビジネス書レビュー
うちの社長は、なぜ「ああ」なのか(石原明・著、サンマーク出版)
2009年6月18日
『うちの社長は、なぜ「ああ」なのか』を読むと、従業員は「そうそう」と頷き、社長はドキッとするだろう。読みながら怒り出してしまう社長もいたりするらしい。
同著では、企業、特に中小企業が抱える課題がなかなか解決しない原因を、大胆にも社長の「性格」にあると分析。著者は、経営コンサルタントの石原明氏(日本経営教育研究所代表)だ。
石原氏
「コンサルティングをしている中で、いくら面白いビジネスのアイデアがあってもうまくいかなかったり、社内の組織化を目指してもなかなか従業員を動かせない経営者がいたりした。このような経営者を数多く見る中で、だんだんパターンが見えてきた」
この「社長の性格」のパターンを、「目先没頭型」、「振り回し型」、「振り回され型」、「他者不信型」、「リスク回避型」の五つに分類し、実際にあった事例をベースに、それぞれのパターンについて解説していく。それぞれのエピソードには、自分にも当てはまるような行動をする登場人物が出てきて、経営者には耳の痛い話もあるだろう。しかし、分析だけにとどまらず、課題が解決されていくプロセスも合わせて描かれているので、課題意識を持てる経営者にとってはヒントの多い著だ。たとえば、仕事を人に任せることのできない「他者不信型」の社長に対して、同氏は「恋愛をしなさい」とアドバイス。彼女ができた社長は、人に対する愛情や優しさの大切さを知り、社員との接し方が劇的に変わって会社がうまくまわるようになった―という例が紹介されている。
「中小企業では『会社=経営者』。社長自身が『反省』という気持ちを持たないといけない」
同氏は、組織が大きくなりすぎて硬化した企業が起こす「大企業病」に対して、社長の性格が原因で中小企業が陥る状態を「中小企業病」と呼ぶ。もちろん、たとえば「振り回し型」が「推進力」、「リスク回避型」は「リスクヘッジ能力に長けている」というように、それぞれの性格が長所として活きる場合もある。しかし、同氏は「長所を捨てることが必要」と断言する。
「会社の立ち上げ、つまり起業時には、ワンマンと言われようと、多少強引であろうと、社長が先頭に立たなければならない。しかし、会社の状態が『起業』から『経営』へと移行したら、起業時に求められた社長の腕力が、会社の成長にとって『ボトルネック』となってしまう。だから、長所と短所を見極めて、会社を『組織』として動かすにはどう動けばよいのかを考えることが必要」
なお、同著は、同氏の中小企業経営にまつわる三部作の第三弾にあたるもの。第一弾『気絶するほど儲かる絶対法則』ではビジネスモデルの考え方を、第二弾『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです!』では会社を発展させる方法を紹介している。三部作の締めくくりとして、「企業経営のボトルネックは社長の性格にある」というのは、ある意味ショッキングな内容だが、「会社=経営者」であるからこそ、経営者の責任として直視する必要があると言えるだろう。
▼「うちの社長は、なぜ『ああ』なのか」、石原明・著、サンマーク出版、1400円(税別)
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